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新規事業コラム
2021.09.14
事業を見極める
事業立ち上げ&推進

新規事業を立ち上げる意義とプロセスとは?参入事業の評価軸を解説

まず、新規事業が見つかる3つのプロセスをご紹介させて頂きます。

【プロセス①】 会社の歴史から新規事業の意義・メリットと評価軸を見つける
【プロセス②】 経営者(ご自身)の気質と新規事業をマッチングする
【プロセス③】 プロセス①・②の結果を基に、事業計画を策定する

おそらく、このコラムを読まれている方の中には、上記ステップに関して、すでに考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなあなたは、周囲の経営者よりも一歩も二歩も進んでいると考えて頂いて差し支えないでしょう。

しかし、自分一人で考えていると、

◆意思決定の判断軸(意義・メリット)・事業の評価軸をどう定めれば良いのか分からない
◆自分の考えが、いまいち腑に落ちずモヤモヤしている
◆自分の考えが、客観的にどう映るのか検証してみたい
◆考え自体はひとしきり行ったが、次のアクションが見いだせない

といった悩みが頭から離れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、特に定まり切らないというお声が多い、以下2つの事項において、よく話にあがる例をお伝えしようと思います。

1.新規事業を行うという意思決定のための「判断軸」
2.どの新規事業を選択すべきかを決めるための「事業評価軸」

1.判断軸(新規事業の意義・メリット)例;

前提として、日本国内では「成熟業種の単一事業に関する改善的な業績向上だけでは、一番企業ですらも成長の鈍化が始まっている」という現状があります。それを打破し、企業の持続的成長を成しえる手段が、新規事業の立上げになると考えられます。ですので、「新規事業を立ち上げない」という経営判断は、基本的にはあまり無いと考えられますが、他の意義・メリットも検討してみます。

■新規事業を立ち上げることによりポストが発生

・新規事業の実施により新しい部署や会社ができると、それだけ多くポストが生まれます。既存事業1本であればどうしてもキャリアに限界を感じてしまう従業員も少なくない場合が多くみられますが、新しい事業が生まれることで、より多様なキャリアビジョンを描くことができるようになります。具体的には、一族経営の会社でも事業会社の社長や役員となる道が開けるのです。

■自社の新しい未来が見えることにより、採用力・社員定着力が高まる

・上とも関連しますが、これは採用力・社員定着力にも影響します。入社する会社は、その人の一生を左右する為、「この会社は今は良いけど、将来性が無さそうだな」と思われてしまうとどうしても人気が出なくなってしまいます。具体的には、20年・30年先まで、社会の変化に対応して生き残っていけるような未来の見える会社であるかどうか、ということです。定着においても同様で、長期的にこの会社に貢献したいという方に残ってもらう為には、新規事業というのは大切なキーワードです。

■新規事業で生み出した利益を本業に投下することも可能

・新規事業を実際に立ち上げ、成功させている経営者は、意外にも「既存事業を守るために」新規事業を立ち上げたとおっしゃる方が多くいらっ
しゃいます。この考え方は非常に重要で、既存事業も信念・プライドを持って経営されていますし、そこにいる従業員を守る必要があります。そのため、新規事業で利益を生み出して本業を守るという考え方は、特に地域に責任を持つ中小企業にとって大切です。もちろん、既存事業があまりにも衰退することで結果的に撤退を余儀なくされることもあるでしょうが、既存事業を辞めてしまうことありきの新規事業は、まわりから理解を得られにくく、その分成功確度も低くなってしまうようです。

■業界のトレンドに惑わされない(新しく参入する業界の流れに乗ることが出来る)

・それぞれの産業は、そのスピードに差こそあれ、ライフサイクルがあります。しかし、企業は1つの産業に縛られる必要はありません。その意味で、新しい成長分野に参入し、業界の流れに乗って新たな成長ドライバーを得ることができます。
・また、たとえ産業として衰退期に入ったとしても、残存者利益を取るという考え方もあります。産業のライフサイクルの後期には、生き残るのは、体力も有り顧客もいる一番企業だけになりますが、そうなることで一定の利益を得ることができます。こうした戦略をとるにあたっても、やはり新規事業からの利益というのが重要になるのです。

2.事業評価軸(事業決定の評価項目)例;

ある新規事業を実施するかどうかというのは、非常に思い意思決定になります。実際に事業進出を行動に移して良いか不安に思われることも多いでしょう。そこで、本当にその新規事業を実施すべきかどうかを考慮するときの判断軸を以下に整理します。

■ノウハウを持つ外部(FC本部・コンサルタント等)からのサポートがあるか

・最もサポートを得やすいのは、フランチャイズでしょう。この場合、基本的にはフランチャイズ本部(フランチャイザー)が決めた店舗フォーマットや運営形態に従うことになりますので、自由が効きにくい反面、ノウハウはかなりの程度受けることができます。したがって、新規事業の1本目としてフランチャイズへの加盟を行う企業も多く存在します。まずここでノウハウを得て、そこから新たな新規事業を自社で付加していこうということです。
・もちろん、私たちのようなコンサルタントも、事業付加におけるサポートが可能です。「新規事業の進め方が分からない」というそもそもの、前段階でのご相談や、「社内で検討したい」「優良FCの見つけ方を教えて欲しい」「M&Aで付加したい」等々、多くのご相談を頂いております。

■少人数モデル(省人化モデル)であるか(人件費・採用定着難に捉われないか)

・人件費・採用定着難に捉われずに事業運営できるかというのも、実は見落としがちですが重要な視点です。新規事業の検討は上手く進んだが、人を募集する段になって頓挫してしまう例も存在します。
・逆に、自社がもし人を採用するのに強みがある(例:人材業を持っている、地域一番企業で知名度が高い)ようであれば、採用できることが他社にとっての参入障壁にもなる可能性があります。

■将来的に県内で1番になれるか、もしくは、売上10億円・営業利益率10%以上を達成できるか

・こちらは会社の考え方(=経営者の考え方)にもよりますが、やはり経営ですので、定量的な評価も必要です。自社にとっての第2の柱となる可能性を秘めているかどうかという点で、長期的に今始めた事業が、自社の売上や利益の半分以上を占めているイメージができているか、点検してみるのも有効です。新規事業を成功させた企業では、半分どころか8割・9割ということさえあります。

■既存事業の経験が生かせる・相乗効果があるか

・いわゆる事業間シナジーが生まれるか否かという側面もありますが、自社が行うことの妥当性・納得性があるか、という側面でもポイントにな
ります。たまに、明らかに経営者の趣味と思われる新規事業の相談を受けることもありますが、それはあくまで会社とは切り離してやるべきだと考えます。その企業にはその企業の使命や理念があるべきで、それを実現する新規事業であるかという点も、従業員や地域、関係者の理解を得るためにも重要な視点になります。
・また、成長市場に参入するにあたり、既存事業とその市場との境目にある産業にまずは参入するという考え方もあります。例えばアウトドア産業に進出しようとするカーディーラー企業が、「キャンピングカー」を利用した事業に参入する、といった例です。

いかがでしたでしょうか。

皆様が「新規事業を立ち上げる」と腹に決め、明確な事業評価に基づいて、納得のいく参入事業決定の一助になれば幸いです。

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執筆: B-search

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