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日本の多くの企業が、転換期を迎えている
日本国内のあらゆる産業が成熟化していくにつれて、今までの経営常識が突然当てはまらなくなり、気づいたら「売上は全盛期の半分」といったような企業様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
代表的な事象として、日本の総人口は2015年の国勢調査以降減少トレンドに転じています。これはつまり、「今までと同じシェアを獲得したとしても売上が低下していく時代に転じた」ことを表していますし、「今までと同じ採用活動をしていても、人材が採用できない時代に転じた」とも表現できます。
つまり、今までの10年間よりも、これから先の10年間の方が、間違いなく「勝ちにくい・儲けにくい時代」に突入していくものと予想されます。
今、経営者が優先的に取り組むべきことは何か?
日本の経営環境が全体的に厳しくなっていくなか本稿をお読みの皆さまの経営状況は様々かと思いますが、本稿においては「増税前駆け込み需要・オリンピック景気等で2020年度までは業績は比較的好調」・「自社の市場は大幅な成長は期待できないが、短期的な大崩れもない」という状況である経営者の方に向けて、「今取り組むべき経営テーマ」をご提案させていただきたいと思います。
そのテーマとは、ズバリ「10年経営ビジョン策定」です。なぜ、10年ビジョンを『今』設定する必要があるのでしょうか?
ビジョン策定のベストタイミングを逃すと、取り返しがつかなくなることも…
業績が減少トレンドに転じてしまうと「まずは止血を」という思いが強くなり、「新しいチャレンジ」を考えることが難しいくなってしまうのが「経営における一般的傾向」と言えます。
こうした傾向を表す例え話としてよく用いられるのが、イソップ寓話のひとつである「アリとキリギリス」の物語です。概略を記載すると、夏にバカンスを楽しんだキリギリス、一方で夏の季節のうちに厳しい冬を予見して準備を備えたアリ。冬の季節が訪れたときに、何の備えもないキリギリスは飢えに苦しみ、準備をしたアリは冬の時代を難なく乗り切ることができた、というストーリーです(※所説ある物語の結末の解釈は本稿では割愛させていただきます)。
この物語は「余裕がある時期の準備の重要性」を説いた物語とも言えますが、例えばキリギリスが冬の直前に「さすがにこれから寒くなるぞ」と気付いて、準備に取り掛かったとして、十分な準備ができたでしょうか?おそらく準備できる範囲は限定されてしまい、冬の季節を乗り切るだけの準備はできなかったのではないでしょうか?
だからこそ、環境が温暖な今のうちに、業績が伸ばしやすい今のうちに、「これから先の10年ビジョン」を考えることが重要であると、船井総研では考えます。
業界によってはその限りではないかもしれませんが、景気の追い風を踏まえて2019~20年に売上を過去最大水準にもっていくことに取り組みつつ、平行して「これから先10年のことを考える時間を確保すること」。この、「未来のことを考える時間」がとても重要であると言えるでしょう。
こうした意思決定を、今のタイミングで下すことができるのか?今このタイミングで経営10年ビジョンを考えるのか、そこまでの視野を持てないのか?両者の違いは「アリとキリギリスの分岐点」になるのではないか?と考えます。
まずはここから!10年ビジョン作りはここから始める
これまで2019~2020年の間に、10年ビジョンを組み立てることの重要性を説明させていただきましたが、本稿では最後に、これから先10年の経営ビジョン作りに取り組む際のポイントを2つに絞って解説させていただきます。
まず1つめは「企業年表を整理すること」です。船井総研では、ビジョンを考える上で『絶対にやるべき最初の工程』が企業年表整理だと考えます。これまでの振り返りなきビジョン設計は絵にかいた餅になりやすいですし、既存従業員の共感を得ることも困難になります。(プロ経営者によるトップダウンのビジョン策定&実行がうまくいかない場合の要因の1つです)。
つづけて2つ目は、今の30代の社員へ「あと10年間この会社で働くとしたら、どんな会社になっていてほしいか?」といった、真剣な議論をすることです。もし、30代の中核社員にとって、「これから先10年の経営方針が見えない」といったような声が上がるようでしたら、要注意です。早急に経営幹部を集めて「わくわくできるビジョン検討合宿」を実施することをお勧めします。
繰り返しにはなりますが、2019年はこれから先10年の成長戦略を考える上では、最適なタイミングであると言えます。このタイミングを逃さず、じっくりとビジョン検討を行い、2019年が皆さまにとって最高の1年になることを願っております。 最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆: B-search