ビジョンから新規事業を組み立てる考え方
前回のコラムでは、漠然と「何を新規事業として取り組むべきか?」という疑問に対して、いくつかの切り口を紹介しましたが、今回は別の見方としてビジョンから新規事業を組み立てる考え方について紹介します。
典型的なのは、事業責任者(中堅企業では経営者)が目指す方向性はある程度見えていて、それに足りない事業を埋めていく、というパターンです。
イメージしやすいケースとして、例えば、自社のビジョンが「〇〇業のバックオフィスを丸ごと引き受ける」ことを目指している場合で、現状では経費管理の領域しか対応できていないような場合は分かりやすいと思います。この〇〇業のバックオフィス業務には、経費管理以外にも労務管理・給与計算や福利厚生、シフト管理、採用・評価、・・・とたくさんの業務があります。
このとき、足りない事業というのは現状で自社が取り組めていない代行領域であり、「では次はシフト管理を請け負う(またはツール提供で解決しよう)」という新規事業の方向性が定まります。または、スモールスタートとして1社と連携を深めて一度すべてのバックオフィス業務を包括的に担うような事業を検討しても良いかもしれません。そこで経験値を貯めて他社に展開するサービスを検討するというのもアリだと思います。
自社のビジョンが明確である場合、この例のように、ビジョンと現状の差異を埋めていく事業を検討していく、というパターンを取ることになるのです。
ここまで自社のビジョンが明確に固まっていなくても、ビジョンは新規事業を検討するにあたっての指針となります。
私たちも、新規事業の「事業」自体を考える前に、まず自社がどのような新規事業に取り組むべきか(これを新規事業ビジョンと呼んでいます)を経営トップと整理する場をご提案することが多くあります。ただ、現実的には具体的な事業案がないと新規事業ビジョンも具体的にイメージしづらいので、、前回ご紹介したような事業起点での検討と、新規事業ビジョンの検討を同時で進めていくケースが多くなります。
例えば地場の中堅企業で多いのが、同業で別エリアに進出するというよりは、同エリア内で別事業を展開するというケースです。例えば、「〇〇エリアの健康を支える」というビジョンを立て、既存のクリニック(診療所)事業から、介護系・障害福祉系や保育園事業まで、「人の一生のあらゆる場面で健康をサポートできるように事業付加をしていく」という考え方で事業展開する、というパターンです。
このケースでは、当初からこのようなビジョンがあったというわけではありません。私たちも伴走させて頂き、経営トップの想いと実際に考え得る事業やそれらの採算性、当エリアでの実現性を考えながら、これらを行ったり来たりしながら上記の考え方を構築していったのです。
いかがでしたでしょうか?今回は、新規事業のビジョン起点での展開について取り上げました。船井総研では、新規事業開発を行う企業様向けに、新規事業立案や新規事業ビジョン立案のご支援をさせて頂いております。貴社にて新規事業を検討されるにあたって、もしお困りごとや行き詰まりなどございましたら、ご相談だけでもぜひ一度お問い合わせ頂ければ、弊社コンサルタントが対応させて頂きます。
執筆: B-search