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新規事業コラム
2025.01.23
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新規事業、何やったら良い?

私たちは、よく「どんな新規事業を始めれば良いですか?」という依頼を受けることがあります。一口に新規事業といっても、様々な種類があると考えています。ここでは、皆様の検討に資するように、どのような切り口で考えたら良いかについて、一般的なものから実践的なものまで、具体的に説明します。

1. アンゾフの成長マトリックス

一般的には、アンゾフの成長マトリックスというフレームワークで整理されることもあります。「製品・サービス」と「市場」の2軸で、それぞれ今まで通り(既存)か、新しいか(新規)かの2つに分け、合計2×2=4象限で、どの象限に行くべきかを考えるフレームワークです。

ただし、既存製品・サービス×既存市場、のセグメントは既存事業なので、新規事業として考えられるのは残り3象限です。具体的には、既存の製品・サービスを今までとは異なる顧客層や地域に向けて販売する、 新しい製品・サービスを既存の顧客に提供する、そして、全く新しい製品・サービスを新しい市場に投入するという3つのタイプがあります。

このフレームワークを活用することで、自社の強みを生かしながら、 どのような方向で新規事業を展開していくべきか、検討することができます。入口の検討と参加メンバー間の意識合わせとして、非常に有効なツールであると思います。

2. 難易度

特に中小企業においては、トップ以外に今までの新規事業の経験がない(今の事業の推進の実務以外の仕事をしたことがない)ケースも多く、現実的に難易度がかなりネックになることが多いです。難易度は、言い換えると「ノウハウ入手・導入の容易性」です。

その意味で、本格的な新規事業の最初のステップとしてフランチャイズを選択する企業も多くいます。フランチャイズの場合は、フランチャイズ本部へのロイヤリティ等の支払いが必要になる一方で、運営ノウハウ(マニュアル等)やシステム等をそのまま使えることで、ハードル低く始めることができます。また、全く同じ業態が他エリアに展開していることが多いので、「どのくらいの商圏なら成立するか?」「同じような立地で成立するか?」を事例ベースで確認することができます。

ここで最初のステップという言い方をしたのは、フランチャイズ出店の次のステップとして、自社ブランドでの事業展開を行う、ということも想定できるからです。もちろんフランチャイズ契約の中で、全くの同業態での展開はできないことが多いのですが、「新規事業をやること、サービスの立ち上げ経験」や「類似業界のノウハウ」を、フランチャイズ出店を通じて獲得した後に、今度は自社がやりたかった別の事業に取り掛かる、というケースです。

そしてそのステップの最終形や、大手企業が取り組むことが多いのが、世の中にないビジネスを創る、という領域です。事業自体を開発する、という意味で「新規事業開発」という呼び方をすることもあります。当然、事業の様々なポイントは別の世の中にある事業をベンチマークしながら取り入れていくことにはなりますが、それを組み立てて展開することが求められますので、ノウハウを自社で作り上げていかないといけなくなり、難易度は上がります。

このように、事業の難易度(ノウハウ入手・導入の容易性)によって、ステップに分けて新規事業の展開を考えていくケースは多く存在します。

3. ビジネスモデルの類似性

表面的な業種だけでなく、異業種でもビジネスモデルが似ている場合は、事業展開がしやすくなるケースが多くあります。

例えば、一般的にはパチンコと宿泊事業というのは全くの別業界のように捉えられると思いますが、パチンコ業を経営する経営者の中には宿泊事業(ビジネスホテル等)に進出するケースもあります。一見して遠いように見える2つの事業ですが、装置産業&スタッフ採用・教育が必要な事業、という類似性があります。

装置産業というのは初期投資がかかるが運営自体の難易度は低いもので、ハコものを建ててしまえばある程度日々のオペレーションは難易度低くできるということです。初期投資がかかるということは、リスクを負って初期投資を支払える事業者しか参入できないという意味で、他社にとっての大きな参入障壁になります。

スタッフ採用・教育という点でも、対象者は似ています。同じくらいのスキルレベルの方を採用し、同程度の教育をすることで事業運営が可能になるという点で、経営者も推進しやすいという点が挙げられます。

逆に、一見業界は同じでもビジネスモデルが違って苦戦するケースもあります。典型的なのが同業界での川上や川下への事業展開で、例えば卸企業が小売・外食に参入する場合、同じ業界であっても事業のノウハウが全く異なるため、苦戦を強いられるケースも少なくありません。特に小売業や外食業では、顧客ニーズを的確に捉え、魅力的な商品やサービスを提供する能力が求められます。また採用・教育や経営管理の仕方も異なります。

以上、新規事業の事業案の切り口について取り上げました。船井総研では、新規事業開発を行う企業様向けに、新規事業立案のご支援をさせて頂いております。貴社にて新規事業を検討されるにあたって、もしお困りごとや行き詰まりなどございましたら、ご相談だけでもぜひ一度お問い合わせ頂ければ、弊社コンサルタントが対応させて頂きます。


執筆: B-search

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