New business Column
新規事業コラム
2021.09.03
事業を見極める

新規事業のフィージビリティ・スタディ

最近、新規事業の立ち上げに関してのご相談が多くなってきています。社会と経済環境の変化が激しいのと、人口減少と少子高齢化の影響が毎日新聞に掲載されるご時勢ですから、景気が回復している今のうちに新規事業に取り組もうという思いを持つ企業が増えているのだと思います。

相談のうち一つ目のパターンは「これまでまともに新規事業に取り組んだ経験がない。そこで現在のアイデアを基にしっかりとした事業計画を作りたいので、手伝ってほしい」という観点からの相談です。
二つ目のパターンは新規事業を立ち上げることに決めた。取り急ぎイメージを大まかな数値計画に落としはしてみたものの、根拠がまったく無く、船井総研に手伝ってもらって裏づけを行いたい」というような感じです。

日本の企業の数は最近どんどん減少してきています。その環境に更なる少子高齢化と人口減少がやってくるわけですから、このままの流れでいくと企業数はさらに減少してしまうでしょう。
アメリカの起業率、廃業率は約10%であり、日本の開業率は約4.5%ですので新陳代謝や企業間競争が活発化しない中で日本の産業の衰弱が進む懸念もありますので、新規事業に取り組む企業が増えることは日本全体のことを考えても大いに歓迎すべきことであるはずです。
しかし思いつきや勢いだけで新規事業に取り組んでも成功する確率はとても低いのが実態です。特に既存企業が見落としていたり、競合がまだまだ緩い業界への進出の場合は、リスクも少ないかもしれませんが、競争が激しかったり、すでに市場が成熟している業界に準備もまともにしないで進出すると失敗確率は跳ね上がります。新規事業=成功ということが保証されているわけではないので、十分に検証して進出することが重要です。特に初期投資が大きな事業、または一度進出してしまうと撤退が容易ではない事業の場合は事前準備がとても必要なのです。フィージビリティ・スタディは新規事業スタートに当たっての可能性検証を行うものです。

フィージビリティ・スタディでは、まず新事業をスタートさせてよいのかの可否判断を行います。
この部分の検証は新規事業でアタックする業界の現状把握(市場規模と将来の推移予測、競合の状況、メインプレーヤーの現状と動向など)をベースに自社が進出後、トップ企業に躍り出る可能性が有るのか無いのか、または既存企業の反攻を受けない一定の安定したポジションを確立することができるのか などの答えを各種調査をベースにあぶりだします。

自社にとっては胸躍る新規事業であり、準備段階では成功することしか考えられない状態であることが多いのですが、よく考えてみると新しく創造された市場でない限り、既存企業が事業を展開しており、その企業に打ち勝たなければ大きな成功はないはずです。

特にメーカーで長年やってきた会社が小売店舗を作ってみようというような場合は、小売店舗づくりを軽く見て失敗することが多いように感じます。ブランド力も無い無名の店舗では集客という販売業の最初の部分でつまづく可能性が高いのです。売上がゼロでも不動産費と人件費は毎月、毎月かかってきますし、在庫もほとんどの商品が生鮮品でなくても腐っていきます。要はコストを無視して叩き売らないとはけないという状態になりがちなのです。

海外進出だけでなく、日本国内の中においても熟知していないエリアが殆どのはずです。考えているだけではもちろん話になりませんが、勢いだけで出店するような時代でもありません。検証と準備を入念に行った上で新規出店に取り組むことが重要なのです。

卸売業のフィージビリティ・スタディを行うなかで、私がお勧めしているのが見込み客となると考えられる業界の企業へのヒアリング調査です。

「この事業がスタートしたら取引したいと思うか?」
「取引したい理由は何か」「取引したくないならその理由は何か?」

というような話を購買担当者にヒアリングし課題の発見を行うのです。

この調査を実施しておけば、新規事業が順調に立ち上がるかということの見込みが立てやすくなりますし、立ち上げてからこんな筈ではなかったという「当て外れ」が減少します。船井総研は独立系のコンサルタント会社で色がついていませんし、東証一部上場企業のコンサルタント会社ですから、ヒアリングを承諾していただける企業も多くBtoBのビジネスにおいての調査においてはとても有効な手段となるわけです。
もちろんBtoCの新規ビジネスの場合も、想定される消費者パネルに対する各種調査を行いますが、BtoBの場合はヒアリング調査がきっかけとなり、そのまま良い話だからぜひ取引をしたいという話にもなりやすく、現場主義の船井流コンサルティングの面目躍如という形になるのです。

船井総研はリスクが大きければはっきりと新規事業は中止しましょう。どうしても続けるなら、こういう形にしましょうという提言をします。新規事業でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。


執筆: B-search

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