New business Column
新規事業コラム
2022.03.01

事業再構築補助金で必要な事業計画書の作り方と加点項目について(前編)

事業再構築補助金とは、コロナで影響を受けた企業に対して、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など思い切った事業再構築を支援するために立ち上げられた補助金です。
経済産業省の中小企業庁が管轄していることからも分かるように、中小・中堅企業をメインの対象としています。

出典)中小企業庁HP

2021年度から開始され第1回から第5回公募まで実施されており、約2.6万社が採択されています。(現時点で結果が発表されている第1回~第3回までの合計社数)
2022年度も引き続き第6回から第8回公募まで実施が決まっており、まだまだ注目したい補助金の一つです。

この記事では、事業再構築補助金の申請で作成が必要な「事業計画書」の作り方を前・中編で、加点項目を後編でわかりやすくご紹介します。

※本コラムでは、公募要領をかみ砕いた形で解説しています。詳細は、経産省HP掲載の各回の公募要領を確認してください。

■申請のための要件に沿ったストーリーを作る

当たり前ですが、注意するべきは”事業再構築補助金の審査項目”に沿った事業計画書を作成するということです。
どれだけ優れた事業計画書であっても、公募要領に記載されている審査項目に沿っていなければ、採択はされないのです。

まず改めて、事業再構築補助金の【事業概要(目的)】と【申請要件】を確認しましょう。

【事業概要(目的)】
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態 転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

【申請要件】例)通常枠の場合

□コロナ前後で、売上が減っている
※詳しくは、2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少しており、2020 年 10 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 5%以上減少している

□事業再構築指針に沿った事業再構築計画である

☑ 要件①:製品等の新規性要件

☑ 要件②:市場の新規性要件

☑ 要件③:新事業売上高10%等要件

☑ 要件④付加価値額の年率平均 3.0%以上増加

自社が検討している新規事業を、上記の要件を満たすようにストーリー展開していきましょう。

■事業計画書に書くべき大項目と流れ

事業再構築補助金の事業計画書は、必須事項は公募要領に記載はあるもののフォーマットは存在しないため、何をどういった順番で書くべきか悩む方もおられると思います。

事業計画書に記載すべき項目は、大きく分けて以下の4つになります。
①補助事業の具体的取組内容
②将来の展望
③本事業で取得する主な資産
④収益計画

この4点を、A4サイズで計15ページ以内に記載するように、と規定されています。

では、それぞれどのような内容を書くのか、詳しく見ていきましょう

①補助事業の具体的取組内容

まずは、現在の既存事業の状況を記載します。
会社名や本社所在地などの会社概要を記載していきましょう。

また、自社の商品・サービスを、自社の強みをからめながら記載しましょう。
販売方法、セクション別の売り上げ状況について記載し、審査担当が自社について大まかに把握できるようにする必要があります。

・現在の事業の強み・弱み/事業環境について
ここでは自社の市場環境を記載していきます。
強み・弱みの部分ではいわゆるSWOT分析を行うことが最適かと思います。

上の図にあるように、内部要因と外部要因、強み(プラス要素)と弱み(マイナス要素)で4つにフィールドを分けて、自社を分析していきましょう。

例えば、典型的な内容としては以下のようなイメージです。
・内部環境&強味=自社のこれまでの実績、多彩な販売ルートがある
・内部環境&弱み=人材不足で若手育成が進んでない
・外部環境&強味=自社の居る業界の市場が伸びている
・外部環境&弱み=競合他社が多い業界や立地である

また、現在とこれからの想定される事業環境について、コロナの影響や近年の時流などを踏まえて記載しましょう。
例)コロナの影響で巣ごもり需要が伸びた、首都圏以外への人口流入も増えたことで〇〇のニーズが今後伸びると予想される…等

・現在の事業の強み・弱み/事業環境について
コロナの、業界及び自社への影響を記載しましょう。
特に自社の売上変動については、コロナ前と後の売上をグラフを用いて、ぱっとわかるように記載してください。

・事業再構築の必要性
ここで、新規に行う事業の概要と、そう考えるに至った理由を記載していきます。
「自社にとって事業再構築の必要性が必要である」と改めて結論付けましょう。

・応募申請する枠と事業再構築の種類
「事業再構築補助金」の応募する枠と、その枠の要件に合致しているという事実を明確に記入します。

本補助金には6つの枠
通常枠、大規模賃金引上枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠、最低賃金枠

5つの類型
新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編

が設けられています。今回の事業がどれにあたるのか明確に記載してください。

また、冒頭でも記載したように類型ごとに定められる要件があります。
その要件を満たしていることも明確に記載してください。

 〇製品等の新規性要件=過去に販売・製造したことがない、主要な設備を変更する、定量的に製品の性能・効能が異なる

 〇市場の新規性要件=既存製品等と新製品等の代替性が低い、既存製品等との客の共食いが起こらない

 〇新事業売上高10%等要件=新たな製品の売上高が総売上高の10%以上となる

・事業再構築の具体的内容及び課題とその妥当な解決方法

補助事業の具体的内容と計画を記載していきます。
ここで記載する項目は、業種によっても大きく違うはずですが、最低限必要な内容としては

・構想の全体像
・販売する商品・サービス
・導入する設備
・店舗計画とその他の販売チャネル
・組織(採用・育成)計画
・必要な工事・・・等です

・事業実施期間の取組みスケジュールについて

販促計画や建物の建設・改修スケジュール、導入設備の型番や導入時期、専門家による研修などの時期、オープン日など、補助事業のスケジュールを可能な限り詳しく記載してください。

・補助事業を行うことによる差別化について
新しい取り組みによって他社・既存事業との差別化ができることをきさいします。
例えば、価格設定なのか、ブランディングなのか?
既存の事業者と何が異なってなにが強みなのかを明確にしましょう。

例えば、飲食業で配膳ロボを導入し、顧客満足度と人件費削減などを示すことなども当てはまるかと思います。

②将来の展望

具体的なユーザーやマーケット、市場規模などについて、
またその価格や性能についての優位性・収益性を記載しましょう。
それを踏まえた課題やリスクとその解決方法なども記載してください。

具体的には、
・どんなユーザーを想定しているのか
・そのマーケットの規模や成長度合
・サービス・製品の詳細と価格
・そのサービス製品の差別化要素、自社ノウハウ
・補助事業実施の想定される結果(売上)
・事業で想定される課題やリスク、その解決方法について
・事業化の目標時期(KPIを設定した目標売上、営業方法、量産の時期とその価格など)

事業化においての具体的な計画と、その想定される結果・成果を記載していきます。
写真やグラフなどを使って、その想定結果が視覚的にわかりやすいように注意していきましょう。

中編につづく>>


執筆: B-search

Related Column 関連コラムはこちら

Hot Column 人気記事一覧

↑pagetop