囲碁・将棋クラブのビジネスモデル
初めに囲碁・将棋クラブの収益化ビジネスモデルを見ていきましょう。
1.棋戦創設やイベント開催による集客
棋戦創設やイベント開催は集客や会員集めに効果的です。子ども対戦会、プロ棋士を招いた交流会などターゲットを明確にしたイベントを開き、固定会員の増加を目指します。また、大規模な棋戦やイベントは企業スポンサーへ主催や協賛を誘致するケースもあります。特に各新聞社は将棋・囲碁界でスポンサーとしての繋がりが深いです。
2.プロの指導やセミナー開催による集客
プロに指導料を払ってクラブ施設内へ招き、教室やセミナーを開催するビジネスモデルです。会員に参加費を払ってもらい収益源とします。1年に数回の特別イベントとして講師を招くケースもあれば、プロの指導員をクラブ内で雇い、定期的な教室のスタイルにするケースもあります。
3.飲食サービスにより収益を増やすロールモデル
会員料だけで一日遊ぶことができる囲碁・将棋クラブは収益化が難しいのも事実です。会員料以外の収益源のため、飲食サービスを導入しているクラブも少なくありません。飲食メニューやアルコールも充実させることにより、顧客単価を上げることができます。
囲碁・将棋クラブを取り巻く環境
1.プレイ人口は多くポテンシャルは大きいが収益は伸び悩んでいる
公益財団法人日本生産性本部の行う「レジャー白書2020」調査によると2019年度の将棋参加人口は620万人、囲碁は230万人でした。参考として、同調査ではゴルフの参加人口は580万人とされており、将棋はゴルフと並ぶレジャーの代表格であることが見て取れます。将棋連盟の公開情報によると、将棋連盟の毎年の収益は概ね32億程度です。プレイ人口は多くポテンシャルはありますが、収益化の難しさからビジネスとしては伸び悩んでいる業界であると言えます。
2.回転率の悪さが特徴の業種であるため収益モデルに工夫が必要
囲碁・将棋クラブの収益化の難しさの理由の1つは、回転率の悪さです。例えば飲食店であれば、食事を食べ終わった客は帰って行くため空席ができ、客が入れ替わるたびに収益が生まれます。しかし囲碁・将棋はゆっくりと楽しむスタイルのため、1日客が同席に居続けるということも珍しくありません。そこで時間帯別の料金システムを設ける、教室を開くことにより時間に区切りをつけるなどの工夫が必要となります。
3.10代・女性人口が増加傾向にあり、いかに取り込めるかがカギ
2020年に史上最年少タイトル戦挑戦記録を更新した18歳の藤井聡太二冠の影響も大きく、最近では10代や女性の将棋人口が高まりつつあります。藤井二冠デビュー前とデビュー後を比較しても将棋人口に2割の増加があることからも、ファン増加の影響が大きいことが予想されます。囲碁は若年層への普及活動が少なく、参加人口も減少傾向にあります。しかし囲碁界でも芝野虎丸二冠が史上最年少19歳で名人を獲得するなど、若手のスターが誕生しており、これからの10代・女性人気に期待できるでしょう。
囲碁・将棋クラブがおすすめな人
囲碁・将棋クラブのビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
地域のネットワークが広い人
地元の広報や学校などに繋がりがある人
プロ技師をイベントに呼び込める繋がりがある人
自身が囲碁・将棋において講師や対戦相手になれる腕前がある人
囲碁・将棋クラブの成功のポイント
1.地域内でイベントやセミナーを積極的に発信
安定した会員を増やすには、地域内での発信が欠かせません。地域の掲示板、広報誌への掲載、公共施設にビラを設置、SNSでの発信などが効果的です。地域企業や自治体と連携してイベントを開いたり、他教室とも積極的に交流して行くことで会員増加を狙えます。
2.遠客や若年層、女性層を呼び込むオペレーションの工夫
若年層や女性層の集客、また遠方からも来てもらえるクラブにするには、オペレーションの工夫が重要です。いつ訪れても自分のレベルに合った対戦相手が見つけられる環境を整えるためには、ある程度の数の盤を揃えておく必要があります。内装や入り口の入りやすさなど外観にもこだわり、新たに将棋や囲碁に関心を持った若者や女性が気軽に入れる環境にすることもポイントです。喫煙者と非喫煙者を分ける空間設計の工夫も必須でしょう。
3.人気プロ棋士のファンを意識したイベントの開催
近年では囲碁・将棋ともに若いスターの誕生が話題になっています。繋がれる人脈があればクラブに招きイベントを開催できます。本人の誘致が難しい場合でも、対局の観戦イベントを行ったりファンクラブを立ち上げたりすることも、クラブ内を盛り上げる有効な集客方法となります。