歯科医院を開業するために
歯科医院は個人事業主による開業が多い反面、医師の高齢化による事業継承の課題が浮上しています。歯科医院を開業するために必要な基本を整理します。
1.歯科医院の診療科
歯科医院の医療法の標榜する診療科として、歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科の4つがあります。
しかし、最近では健康保険制度による治療のほか、歯列矯正やホワイトニングなど審美歯科の治療を行うケースが増加しています。従来の修復治療から、歯周病対策や口腔ケアのような予防処置が重視されるようになりました。
歯と口腔の健康が、生活習慣病をはじめとした全身の健康に影響があることが明らかにされつつあり、口腔内科のように、口内炎や顎関節症などに対して内科的なアプローチを用いて診断と治療を行うケースが増えました。
小児歯科の領域では虫歯が減少していることなどを踏まえて、高齢者歯科、障害者歯科といったように別の年齢層の利用者に向けて、差別化をはかる歯科もあります。
歯科に従事する人員は、歯科医師免許を保有している歯科医のほかに、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手などの従業員を採用します。
2.歯科医院の開院の流れ
歯科医院の設立するおおまかな流れを整理します。
まず基本的な構想と立地条件を検討します。クリニックの名称では、地域に類似した名称の歯科医院がないようにチェックすることが重要です。
次に資金計画を立て、資金調達を行います。資金調達にしたがって、建築士などに医院の設計をお願いしてクリニックの工事に着工します。
続いて歯科医師会に入会の手続きを行います。審査が必要のため、医院設立の目処がついた段階で早めに手続を行うとよいでしょう。その後、医療機器や事務用品を揃えます。中古の医療機器を活用すると初期投資を抑えられます。パンフレットやカルテなどの印刷物を準備し、従業員を募集します。
準備が整ったところで開設届を提出し、広告による集客を行います。集客のためには駅や電柱など地域の目につくところに看板などを設置するとともに、タウンページやWebサイトなど複数のメディアを活用します。
開院後には、保健所や歯科医師会などに提出しなければならない書類が多岐に渡るため、詳細をチェックすることが必要です。
3.歯科医院の開業で留意すべきこと
歯科医院は開業資金として5,000万円以上の投資が必要になり、億単位を超える資金調達のも念頭におかなければなりません。年収が1,000万円を超えたとしても安心できない状況にあります。
開業にあたっては、土地や建物の取得や借り入れ、内装工事、医療機器や治療に必要な備品の購入、歯科医師会の入会費用などが必要になります。自己資金と借入金で補う場合、総投資全体の借入比率を把握しておくことが重要です。借入金の据置期間や返済期間を考慮して、公的金融機関を有効活用します。
業界動向やトレンドについて
歯科医院は、開業すれば儲かる医院と考えられていた時期がありました。しかし現在では、東京や大阪をはじめとした大都市圏において「コンビニエンスストア並みに歯科医院が設置されている」といわれ、過当競争の厳しい状態にあります。
歯科医院の開業がおすすめの方
歯科医院は、職人的な技術が求められるとともに、運営にあたっては経営者として業績の向上や借入金の返済を厳しくチェックしなければなりません。
成功のポイントは?
歯科医院の開業前には、立地条件の確認し、開業前の見学会による事前告知が重要になります。開業後は生産性を向上させ、売上の複数の柱を立てて安定させます。
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みなさまの新規事業検討に当たって、一助となれば幸いでございます。