ポイント①訪問看護業界の市場規模と業界動向について
市場規模
訪問看護利用者は月間60万人おり、大まかにいうと月5回利用し、1回1時間で、1万円(本人負担1千円から3千円)が基本的な構造であり、市場規模は3,600億円程度である。訪問看護事業所1カ所当たりの看護職は常勤換算6名で、1人あたり売上は600万円程度である。事業者によっては、1人あたり売上が1000万円以上のところもある。地方の看護師は車で片道1時間の道のりで1日3件だが、都心の看護師は自転車で片道10分程度の道のりで1日6件のところがある。
業界動向
訪問看護は介護される人の人数によって市場規模が左右されます。
65歳以上人口は、3,589万人。総人口に占める65歳以上人口割合(高齢化率)は28.4%です。
「65歳~74歳人口」は、1,740万人(総人口に占める割合は13.8%)、「75歳以上人口」は、1,849万人(総人口に占める割合は14.7%)で、65歳~74歳人口を上回っています。
2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になります。
ポイント②訪問看護のビジネスモデルについて
訪問看護は、地域の訪問看護ステーションから要介護者や要支援者の自宅に医療的なケアの専門家が訪問し、療養生活を支援するサービスです。
1.訪問看護の主なサービス
訪問看護では、利用者の主治医医師が発行する訪問看護指示書をもとに、自宅に訪問して医療ケアを行います。
具体的には、体温・血圧・脈拍などの計測とチェック、点滴や注射などの医療処理、人工呼吸器や在宅酸素などの管理、床ずれや傷などの処置、在宅によるリハビリテーション、食事・排泄・入浴の介助と指導など医療系のサービスを提供します。
認知症の高齢者には薬を管理して飲むことや、日常生活能力(ADL, Activities of Daily Living)の低下により入浴が困難な患者も少なくありません。また、がんの末期や老衰など終末期を自宅で生活するために医療的なケアが必要なことがあります。残された人生を幸せに過ごすため「ターミナルケア」の対応も求められます。
ポイント③訪問看護事業立ち上げの手順と注意点
訪問看護のサービスは、コミュニケーション能力が高く、利用者の状況に合わせて臨機応変に対応できる方に適しています。終末ケアに対応しなければならない場合があるため、精神力も求められます。
コロナ禍によって多くの医療が在宅にシフトする傾向にあることから、介護業界においても訪問看護に期待が寄せられるようになりました。その反面、訪問看護の事業所全体の3割程度は赤字経営であり、特に介護職員や訪問の回数が少ない事業所ほど経営難に陥っています。
このような状況を踏まえて、経営の改善が求められます。
ポイント④訪問看護事業必要な項目
1.訪問看護は他と比べて最小限の施設で開業可能
訪問看護の事業所として主なものに「訪問看護ステーション」がありますが、その他に医療機関や個人の訪問看護事業所を利用して、利用者に24時間体制による対応を行います。
他の介護サービスと比べて、広いスペースや高価な設備を必要としません。したがって、初期費用を抑えて開業できることがメリットです。
2.訪問看護の開業に必要な基準
訪問看護サービスの開業には、指定居宅サービス事業者として都道府県知事の指定を受けます。このとき、法人格が必要です。法人格は株式会社やNPOなど種類を問いませんが、既に法人格のある場合は、定款の目的および登記の変更をしなければなりません。
訪問看護サービスは、指定居宅サービス事業者として人員、設備、運営の基準が定められています。
人員の基準に合わせて管理者のほか、看護職員を定められた人員数で配置します。管理者には看護師や准看護師といった資格が必要です。その他、基準の詳細を確認しておきましょう。
訪問介護の事業所と設備では、訪問看護ステーションと病院または診療所によって基準が異なります。
訪問看護ステーションでは、専用の事務室のほか必要な設備と備品が求められます。病院または診療所では、指定訪問看護の事業として専用のスペースを確保し、設備と備品を確保します。プライバシーの保護のために、スタッフ用の場所と利用者による相談場所はパーテーションなどで区切ります。
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