■どんなビジネスモデルか
サービスアパートメントとは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①ホテルと賃貸住宅の双方の特徴を兼ね備えた空間を提供するビジネス
日本国内では、主に東京都心部にサービスアパートメントがあります。高級ホテルのような室内で、自宅のように暮らせる期間限定の家具付き賃貸マンションで、室内担当者やコンシェルジェなどによる掃除やクリーニング、ベッドリネンの交換サービスを提供します。ハイグレードで充実したサービスを受けられる一方で、炊事や洗濯といった身の回りのことは、自分でできる設備が整っています。
②ビジネスマン、インバウンド客に向けたビジネス
サービスアパートメントは、外国では一般的な滞在用施設・物件です。コロナ禍により、インバウンド客は減少傾向にあるものの、コロナ後はサービスアパートメントになじみのあるインバウンド客の回復が見込めます。また、ビジネスによる短期出張、海外からのビジネスマンによる中・長期出張等、様々なニーズに対応できるビジネスです。
③毎月の賃料が収益となるビジネス
サービスアパートメントを提供する際、賃貸住宅のような敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用は顧客に請求しません。収益として発生するのは、基本的に毎月の賃料のみです。サービスアパートメントの多くは都心部に存在します。東京や大阪などの賃料相場は、月額20万円から30万円以上といわれています。
■業界動向やトレンドについて
都心を中心に需要は根強い
東京五輪や大阪・関西万博の開催もあり、海外ビジネスパーソンや観光客などが長期間滞在可能なサービスアパートメントへの注目が集まっています。
理由①海外からのビジネスパーソン、インバウンド客の受け入れ
サービスアパートメントは、外国では一般的な滞在用施設・物件です。コロナ禍により、インバウンド客は減少傾向にあるものの、コロナ後はサービスアパートメントになじみのあるインバウンド客の回復が見込めます。政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人まで増加させる目標を掲げており、今後インバウンド客の増加が予想されます。その動きに伴い、現在はホテルと比較すると数%程度しかないですが、今後は参入企業の増加が見込めます。
理由②住宅に対するニーズの変化
従来型の賃貸物件には、敷金、礼金、更新料といった不明瞭な費用や電気、水道などの光熱費、インターネットの契約手続きの煩わしさなどといったペインポイントが存在します。の中で、サービスアパートメントはそれらペインを解決するのに加え、清掃サービス、リネンやアメニティの交換、コンシェルジュなどのサービス付き住宅であり、潜在ニーズが顕在化してきています。
■サービスアパートメントがおすすめの方
大都市等の好立地に土地と建物をもっている企業
サービスアパートメントは、東京や大阪などの都市圏を中心に普及しています。人が集まる大都市に土地、建物をもっていることにより、集客コストの削減や稼働率の向上といったメリットを享受しやすくなります。また、出張者・海外ビジネスパーソンは快適な働く環境の実現を求めており、公共交通機関が充実しており顧客先へのアクセスがしやすいといった仕事上の利便性が必要不可欠です。
サービス業のノウハウをお持ちの方
丁寧な接客はもちろんのこと、掃除やクリーニング、ベッドリネンの交換サービスにより、事業の付加価値を高めます。これまでの事業で培った経験やノウハウ、専門性などを生かしたサービスの提供をすることができれば顧客満足度の向上が期待できます。
旅館やホテル等の宿泊業を運営している企業
サービスアパートメントは、炊飯器、洗濯機、アイロン、ダイニングテーブルなど、日常生活に必要な設備や家具・家電を備え付けておくことが必要です。旅館やホテル等の宿泊業を運営している企業はこれら設備を備えられているケース多いため、事業を始める際の初期投資を最小限にとどめることが可能です。
■成功のポイントは?
サービスアパートメントのビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
外部環境について:運営資金の確保
海外からのビジネスパーソン、インバウンド客はコロナにより、減少しています。サービスアパートメントは外国では一般的な滞在用施設・物件であるため、インバウンド需要が回復すれば、なじみのあるインバウンド客の回復が見込めます。政府は2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人まで増加させる目標を掲げており、今後インバウンド客の増加が予想されます。運営資金を確保しておくことで、需要が戻る前段階の期間でも安定した事業運営をすることができ、需要が戻った後に売上メリットを享受することができます。
内部環境について:HPによる情報発信
サービスアパートメントは、賃貸物件とは異なり、内見等が行われないのが特徴です。その中で、サービス提供時に顧客との間で、サービス内容に関する相違があってはなりません。家具・家電・設備や掃除、クリーニング、ベッドリネンの交換サービス等の提供サービスに関して、できうる限り詳細に発信しておくことで、顧客とのサービス内容の相違が生まれず、顧客満足度の向上が期待できます。
製品・サービスの差別化要素について:接客およびサービス能力の高い人員の確保
サービスアパートメント事業の最大の目的は、滞在期間中の顧客の居心地空間価値の最大化です。最低限の接客およびサービス能力だけでは、競争優位性を築くことができません。高級感ある快適な暮らしを提供するための経験やノウハウを兼ね備えた人材を採用、もしくはサービスレベルを担保するための教育体制を整備する必要があります。また、海外からの顧客が多いことが想定されるため、日本語・英語双方に対応可能なスタッフを常に置いておくことで、求められます。それらサービス対応を強化しておくことで、顧客満足度の向上が実現し、成功確度が高まります。