■引越業のビジネスモデル
1.本業を主軸とするビジネスモデル
引越業の本業は、引越をする利用者の荷物の輸送です。従来型は、荷造りまでは利用者本人に行なってもらい、荷物の輸送のみを請け負います。このサービスを提供する業者は多く、価格競争も激しいものとなっています。
2.付加価値を加えたサービス
他社との差別化を図るため、付加価値を加えたサービスを提供する業者も増えています。忙しくて荷造りができない人のための荷造り代行や、不用品回収、荷解き、整理整頓まで行うサービスもあります。付加価値をつけることで、従来の輸送のみのサービスよりも高めの価格に設定できるビジネスモデルです。
■引越業の取り巻く現状
1.新規参入のしやすさが質の低下に
引越業の企業は、軽トラック一台でも行うことができ、初期費用がそれほどかからないため新規事業者の参入が多いのが特徴です。新規参入のしやすさが、価格競争による料金の低価格化やサービスの質の低下を招いています。
この状況を鑑みて、2014年に公益社団法人全日本トラック協会は、安全安心な事業者であることを認定する「引越事業者優良認定制度」を導入しました。信頼性のアピールも他社との差別化の方法の1つとなるでしょう。
2.大手業者の独占化傾向
国内で大手と呼ばれる引越業の展開をしているのは、サカイ引越センター、アートコーポレーション、ヤマトホールディングス、日本通運の4社です。この4社が国内市場の約7割の売り上げを占めているとされています。新規参入しやすい業界ではあるものの、大手の力が強いため、いかに大手業者との差別化を図るかもポイントの1つとなります。
3.単身需要獲得が鍵
国内の移動者数つまり引越する人の数は景気や人口に左右されます。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」によると、ピークの1973年には853万人の全国移動者がありましたが、近年は500万人にまで減少しています。
一方で、核家族や単独世帯の増加が顕著となっており、この層のニーズに応えることが新たなマーケティングの機会ともなっています。単独世帯は貨物量は少ないため輸送の利用単価は下がりますが、荷造りのサポートなど他のサービスの需要があるのが特徴です。
■おすすめの方
引越し業がおすすめの方は、以下の通りです。
・体力がある
・差別化できる人脈を持っている
・対人サービスが好き
上記のような方々は、各家庭レベルのニーズに気づきやすく、新たなビジネスチャンスを発掘できるためおすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.競合他社との差別化
引越業は競合他社が多く大手会社の力も大きいため、付加的なサービスで差別化を図ることは不可欠なポイントです。例えば高齢者向けに、新居での家具の設置や介護施設への入居相談まで行うサービスを提供している会社もあります。また、女性向けのプランは単身女性の引越のニーズに応えるものとなります。各顧客のニーズに気づき、新たなサービスを生み出していくことが成功のためのポイントとなるでしょう。
2.苦情対応
引越業は、対人業務の性質上苦情を受ける機会が多い職種でもあります。スタッフの教育によりサービスの質を向上し、クレームを減らす努力はもちろん、苦情処理のシステムもしっかりと構築しておくことが必要です。
3.繁忙期の人員確保
引越業は3〜5月が繁忙期となり、この期間にいかに売り上げを上げられるかが大きなポイントとなります。同時に人員確保が難しくなるのもこの時期です。繁忙期には人員不足によりビジネスチャンスを逃さないため、他社と業務連携をする、短期アルバイトの人員を増やすなどの前準備が必要となるでしょう。
参考:https://www.stat.go.jp/data/idou/index.html
https://www.apple-hikkoshi.co.jp/archives/390
https://newspicks.com/news/1822326/body/