■どんなモデルか
クリーニング取次店とは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①店頭での取次業務に特化したビジネスモデル
顧客から受け取ったクリーニング品を工場へ引き渡し、クリーニングの後に完成品を引き渡すのが一連の流れです。店頭での取次業務に特化したビジネスモデルなので、クリーニングに関する免許や保健所への届け出は必要ありません。
開業にあたって特別な資格は必要ありませんが、クリーニング業界はクレームが多い分野として知られます。クレーム対応に見識や経験があれば、より望ましいでしょう。
②フランチャイズへの加盟が一般的
フランチャイズ(FC)チェーン店に加盟した上で、FC本部から取次手数料を受け取る形式が一般的です。手数料は売上高の30%程度に設定されます。
FCに加盟することで、価格設定において零細企業よりも圧倒的な優位に立てるのが最大のメリットです。クリーニング業全般に関するノウハウが蓄積しやすいため、完全独立の前段階としてFC加盟する方も多いようです。
③開業コストが抑えられる
クリーニング取次店は他業種に比べて開業コストが抑えられるので、初期投資が回収しやすいのが特徴です。FC加盟を前提とした場合、開業コストとしては200~300万円程度が必要になります。
出店する立地が大きく成功の可否をわけますので、住宅地よりは駅前や商業施設内に開業した方が好ましいでしょう。
■業界動向やトレンドについて
市場規模は縮小傾向が顕著です。厚生労働省の調査報告によれば、1997年に約11万件あった取次店数は、2015年には約7万件にまで減少しています(※1)。
昔ながらの零細クリーニング業や取次業は影をひそめ、FCに加盟するのがトレンドで、取次店の隣にコインランドリーを併設する動きも活発です。
近年ではLenet社に代表されるような、実店舗を構えず宅配便を活用して、インターネット内で全てを完結させる、次世代型の取次サービスも登場し注目を集めています(※2)。
※1.参照元:厚生労働省「令和元年度衛生行政報告例の概況 生活衛生関係」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/19/dl/kekka3.pdf
※2.参照元:Lenet「ネット完結型クリーニングサービス」
https://www.lenet.jp/trialb
■クリーニング取次店がおすすめの方
クリーニング取次店のビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・起業にあたって初期投資を抑えたい方
・好立地に10坪ほどのオフィスが構えられる(所有する)方
・クレーム対応に知見がある方
個人事業主として起業を考える方には、初期投資が少ないのでおすすめです。例えば接客業や営業経験者のような、クレーム対応に知見のある方だとさらに好ましいでしょう。
■成功のポイントは?
最後に、クリーニング取次店のビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①FCに加盟する
昔ながらの町工場的な零細企業は、クリーニング取次店として今や斜陽産業と言わざるをえません。価格設定に優位性を与えるためにも、FCへの加盟は必須です。
②好立地をおさえる
リピーターの多さがビジネス成功の可否をわけます。駅前など顧客の利便性を重視した好立地をおさえられれば、広告コストも抑えられるので一挙両得でしょう。
③クレーマーをリピーターに変える高度な技術
クレームが発生しやすいビジネスモデルなので、クレーマーをリピーターに変える高度なクレーム対応が必要になります。