■どんなモデルか
便利屋とは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①スキマ産業としての“何でも屋”
従来、便利屋は顧客のちょっとしたニーズに応える“何でも屋”で、「ハウスクリーニング」「引越」「運送」「不用品の回収」などが主な業務でした。
近年では細分化した顧客のニーズに応えるために、様々なサービスが登場しています。例えば、「独居老人の簡単なお世話(話相手・付き添い・買い物代行など)」「防犯見回りサービス」「遺品回収」「結婚式の出席代行」「謝罪代行」「探偵」などが挙げられます。
顧客の細やかなニーズを察知し解決する能力が求められる、ニッチ市場(スキマ産業)と言えるでしょう。
②過去の業務経験を活用できる
引越業経験者ならば引越関連業務、介護経験者ならば高齢者関連業務、大工経験者ならば家具の組み立てや修繕、日曜大工といった具合に、過去の業務経験が活用できます。過去の職歴や経験をいかにして顧客のニーズとマッチさせるか、アイディア勝負の側面があります。
アイディア次第では初期投資や運転資金を大幅にカットできるので、新規参入の障壁が低いとも言えるでしょう。
③協力企業との提携が必須
顧客のニーズがあまりにも広範にわたるので、すべての業務を自分一人で完遂するのはほぼ不可能でしょう。分野ごとに提携してくれる、協力企業を見つける必要があります。複数の協力企業と提携し、得意分野を互いに補完しあうシステム構築が必須です。
■業界動向やトレンドについて
便利屋は明確に業態を区別できないので、どこからどこまでが便利屋なのか定義が曖昧です。便利屋業界とはどの業界を指すのか、一概には断定できません。
便利屋を開業するにあたり特別な資格は不要なので、個人経営者でも新規参入しやすいのが特徴でしたが、最近のトレンドとして便利屋にも専門性が求められ、資格が必要になるケースが増加しています。
例えば、顧客から不用品を引き取り修繕して販売する場合、古物商の許認可が必要になりますし、産業廃棄物を扱う場合には講習会に参加して、認可証を取得しなければなりません。
つまり、広範な業務を請け負う“ゼネラリスト”から、専門性を請け負う“エキスパート”へと、業態をシフトチェンジしている最中と言えるでしょう。
しかし、広範なトラブルを解決できるゼネラリストにも、一定の需要があります。「誰に相談したらよいのかわからないが、すぐに何とかしてほしい」というちょっとしたトラブルは、時代を問わず誰にでも起こりうるからです(※1)。
参照元:あなたの便利屋サービス長野「お客様の声」
https://anatanobenriya.online/?page_id=48
■便利屋がおすすめの方
便利屋のビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・何か一つでも手に職を付けているエキスパート
・広範な分野に対して知識と技術を持つゼネラリスト
・情報収集能力に長けた方
トレンドからもエキスパートに若干の分がありますが、従来通りのゼネラリストにも十分なニーズが見込まれます。いずれにしても、「今、何が必要とされているのか」を敏感に捉える、情報収集能力が必要です。
■成功のポイントは?
最後に、便利屋のビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①実情に応じたマーケティング能力
世間の関心事や地域の実情に応じて、戦略的なマーケティングを組む能力が求められます。地域における年齢別の人口比率や男女比、交通インフラの整備度合いなどは、戦略を組む上で特に役立つ情報になるはずです。
②柔軟なアイディアと素早い実行力
まだ誰もやっていない、隙間を付くアイディアを素早く行動に移す実行力が必要です。そのためには、普段からの情報収集能力がモノを言うでしょう。
③高齢者産業全般に対する知識と資格の取得
今後日本が直面する人口構造問題から、高齢者産業全般との結びつきがさらに強くなると予想されます。関連する資格を取得しておくと、業務の幅が広がるでしょう。