■どんなモデルか
害虫駆除サービスとは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①生活や業務に支障を及ぼす害虫の駆除
シロアリ・ゴキブリ・ダニなど住宅の害虫駆除や蜂の巣の除去はもちろん、飲食店や食品工場の衛生管理や防カビなど広範囲な業務を扱います。顧客層が幅広いため市場規模も大きく、新規参入が多い業種です。
②必要な資格と所持が好ましい資格
業務上劇薬を扱うので、「毒物劇物取扱責任者」と「防除作業監督者」、これら二つの資格を取得した上で、登録申請書を管轄する自治体に提出しなければなりません(5年更新)。
国際規格である「品質マネジメントシステム(ISO9001)」の認定を受けると、顧客からの信頼度が上がります。さらに、以下のような資格を取得すると業務の幅が広がるでしょう。
建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者 | しろあり防除施工士 | ペストコントロール技術者(※1) | |
取得方法 | 申請 | 筆記試験 | 認証講習会の受講 |
取得にかかる費用 | なし | 15,000円(別途、受講料・登録料が必要) | 61,300~137,600円 |
※1.ペストコントロール技術者:有害生物の防除が可能と認定される技術者
③激化する新規参入業者の弊害とその克服
新規参入が激しい影響で悪徳業者や格安業者が後を絶たず、業界全体の信頼性が揺らいでいます。悪徳業者は論外としても、格安業者の粗雑な仕事がニュースとなり、イメージや評判を悪化させているのです。
各種資格の取得や誠実で親身な対応はもちろん、充実したアフターサービスなどで顧客の不安を払拭し信頼を得て、リピーターになってもらう必要があります。
害虫の発生には季節性がありませんから、一年を通して何かしらの需要が発生します。リピーターをどれだけ多くつかめるかが、ビジネス成功のカギを握るでしょう。
■業界動向やトレンドについて
個人/集合住宅から飲食店・食品工場まで幅広いニーズがあるため、他業種からの新規参入が激しく、純粋な害虫駆除業務に加えたプラスアルファのサービス供給が業界の動向です。
「害虫・防除の業務用資材販売」「防虫セミナーの開催」「床下の湿気対策」「給水管のサビ対策」「耐震改修」「断熱補強」など、業務の多角化が進んでいます。近年のトレンドとしては、「環境に優しい駆除剤の使用」など、エコロジーを意識した業務展開が特筆されます。
同時に、初期投資を抑えるために、フランチャイズ化が進んでいます。独立開業した場合とフランチャイズ化した場合のコストモデルを紹介します(※2)。
独立開業した場合の収益シミュレーション
売上 | 1,350万円 |
仕入原価用 | 68万円 |
販管費・ロイヤリティ | 558万円 |
合計 | 724万円 |
フランチャイズによるイニシャルコストのモデルケース
売上 | 1,350万円 |
仕入原価用 | 68万円 |
販管費・ロイヤリティ | 558万円 |
合計 | 724万円 |
※2.引用元:FOODS CHANNEL「害虫駆除サービスによる独立開業!フランチャイズ加盟者を募集」
https://www.foods-ch.com/news/prt_110103/
■害虫駆除サービスがおすすめの方
害虫駆除サービスのビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・害虫駆除に関連する資格を数多く所有する方
・住宅周辺業務との併用(提携)が可能な方
・SNSを利用した集客環境が整っている方
業務の多角化を見据えて、幅広い業務をこなせる環境が整備されている必要があります。その上で、SNSで潜在的な顧客へ宣伝活動ができると効果的でしょう。
■成功のポイントは?
最後に、害虫駆除サービスのビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①関連業種との提携
害虫駆除の資格やノウハウしかない場合、リフォーム業者やクリーニング業者との提携が必要になるでしょう。
②顧客の安心感の醸成
営業回りや電話相談、セミナーの開催などで、顧客と日頃からコミュニケーションを取り、あらかじめ安心感を醸成しておかなければなりません。
③環境への配慮
環境問題に対する世界的な意識の高まりから、地球環境に配慮した事業展開が、今後さらにビジネスモデルの主流になるだろうと推測されます。