■どんなモデルか
家具組み立て代行とは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①家具の組み立てに特化したビジネスモデル
その名の通り、家具の組み立て代行に特化したサービスです。
ほとんどの家具は購入後、段ボールの中にある分解された家具の部品を組み立てなければなりません。家具の組み立ては力仕事になるケースが多く、高い場所で作業をすることも珍しくありません。専用の工具が必要な場合もあります。
これらの理由から、特に女性や高齢者のニーズが期待できるビジネスモデルです。
時期的には、引越シーズンに大きな需要が見込めるでしょう。
②潜在的な需要が眠る
家具の組み立て自体に、潜在的な需要が眠っています。
2015年に東京都が実施した調査によると、家具の組み立て経験者の42%が、何らかの理由で「スムーズな組み立て作業ができなかった」と回答しています(※1)。同調査によると、「説明書の表記がわかりづらい」との声も多く、組み立てに1時間以上かかるケースも珍しくないようです。
これらのデータから、「危険(怖い)」「忙しい」「面倒」などの理由で、家具の組み立てを敬遠する方が一定程度存在するだろうと推測できます。
※1.参照元:東京都生活文化局消費生活部「組み立て式家具の安全性に関する調査報告書」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/test/documents/houkokusyo.pdf
③日本において開拓の余地が残る
家具組み立て代行は、海外では単体の事業として成立していますが、日本ではまだ商品購入時のオプションサービスの領域を出ていません。専門性が必要とされる分野にもかかわらず、プロフェッショナルとしてサービスを本格的に供給する業者は少ないのが現状です。
■業界動向やトレンドについて
海外において、家具組み立て代行をビジネスモデルとして定着させたのは、アメリカでオンライン(モバイル)マーケットプレイスを手掛けるTask Rabbitです。「タスカー」と呼ばれる個人のフリーランスに、手間がかかるタスクをアウトソーシングするシステムを確立しました。
「Uber EatsやWoltの家具組み立て代行バージョン」「家具組み立て代行に特化した人材派遣業」をイメージするとわかりやすいでしょう。
日本においては、北欧に本拠を置くIKEAが2017年にTask Rabbitを買収して以来、家具組み立て代行のビジネスモデルを先行し、ニトリがその後を追う展開が続きます。料金システムとしては、IKEAが5,000円、ニトリが2,000円を基本ラインとしています。
■家具組み立て代行がおすすめの方
家具組み立て代行のビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・人材派遣業務の多角化もしくは特化を目指す方
・SNSなどによる集客が可能な方
・付加サービスを実現できる方
人材派遣業と親和性が高いビジネスモデルです。ニトリが既に低価格化路線において先行しているので、顧客のニーズを捉えた付加サービスの充実などが必要になるでしょう。
■成功のポイントは?
最後に、家具組み立て代行のビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①専門作業員の育成と確保
顧客のニーズに対応できる専門性の高い作業員を、いかに育成し確保するかがポイントになります。人材派遣業務のノウハウが活用できるでしょう。
②SNSを利用した潜在的な需要の喚起
潜在的な需要が大きいので、ツイッターやインスタグラムを効果的に使用し、潜在的な需要を掘り起こす必要があります。
③付加サービスの充実
古くなった家具の引き取りなど、付加サービスを充実させる必要があります。顧客に対するリサーチはもちろん、地域性(人口動態や男女比など)の情報収集が欠かせないでしょう。