■どんなモデルか
学童保育とは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①補助金ビジネス
学童保育とは、放課後に保護者に代わって小学生を預かるサービスです。児童福祉法に基づく補助金を受けることができ、収入の7割は補助金によるものです。多額の補助金を受ける以上、存続はできても、儲かるビジネスではありません。
②子どもの将来
学童保育はただの一時預かり所ではなく、子どもの将来につながる教育を提供することが期待されています。
同じテレビゲームをさせるにも、「順番を待つ」「ルールを守る」「感情をコントロールする」といった、社会性を身につける機会を提供するものでなければなりません。
③保護者の都合
保護者は預ける子どもがぐずらないよう「子どもが行きたがる」事業所に子どもを預けがちです。
しかし、子ども自身に事業所を選ばせると、誕生日プレゼントが豪華だったり、1人1台ゲーム機がある事業所を選んでしまいます。子どもが自分の将来に思いを致すことはまれです。
保護者の方も営業時間が長く、使い勝手のよい事業所を選んでしまいがちです。
■業界動向やトレンドについて
2016年の『保育園落ちた日本死ね』事件以降、保育所の充実は国策となり、多額の補助金が支給されるようになりました。にもかかわらず、保育所不足は一向に解決されていません。
これは、たとえ補助金を支給しても、保育所不足を市場原理で解決しようとするのは根本的に無理があるからです。結果、大手は参入を敬遠し、業界の効率化と再編は進んでいません。
■学童保育がおすすめの方
本ビジネスにおいては、創業者(または先生役)のパーソナリティや経験が重要となります。「補助金がたくさんもらえていい思いができそうだから、ウチもやってみるか」では、成功はおぼつきません。児童やご両親、他業者にも迷惑がかかります。ビジネスである以前に、責任ある教育事業であることをお忘れなく。
・学童保育を通じて自らの教育理念を実現したい方
理念なくして学童保育はありえません。理念の存在は、事業成功の原動力となります。
・子どもたちの笑顔を見たい方
補助金ビジネスの学童保育において、報酬は金銭以外の何かに求めざるをえません。その何かに「子どもたちの笑顔」を挙げる人は多いです。昨今は「やりがい搾取」などと揶揄されますが、痛烈な批判ではあります。
・児童福祉に情熱のある方
児童福祉に無際限の情熱を感じる方は、いうまでもなく本ビジネスに向いています。
■成功のポイントは?
学童保育のビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
以下は「事業者=学童保育でお金儲けをしたい人」の場合を前提とします。
①事業所を増やす
子どもをたくさん集めて事業所を増やせば、それだけ売上と補助金も増えます。経営にレバレッジがかかります。
②問題児は排除
『2:8の原則』は、学童保育の世界でも成り立ちます。2割の問題児が、保育士の8割の時間を奪っています。問題を起こしそうな児童は、入所をお断りしましょう。
③利便性の追求
営業は早朝から深夜まで行いましょう。保護者の使い勝手のよさを追求すれば、子どもが多く集まります。
※以上は、一部儲け主義の学童保育の存在に警鐘を鳴らすものです