■どんなモデルか
100万人のリハビリ難民を救う脳梗塞リハビリテーションとは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①生活期のリハビリ
脳梗塞リハビリテーション(狭義)は、『脳梗塞』の後遺症に対して、『生活期』のリハビリを提供するサービスです。
「脳梗塞」(脳の血管が詰まる)は脳血管疾患の一種で、「脳内出血」(脳の血管が高血圧でやぶれる)や、「くも膜下出血」(脳の血管が風船のようにふくらんでやぶれる)と同じ症状の後遺症が残ります。
リハビリには「急性期」(発症後30日以内)「回復期」(発症後180日以内)「生活期」(発症後180日以降)のそれぞれに適したリハビリがあります。
②保険外サービス
脳梗塞リハビリテーション(広義)は、発症後の期間が短いほど効果が大きく、「急性期」と「回復期」に集中的に行うのが鉄則です。そのため、『医療保険』が適用されるのも「急性期」と「回復期」だけです。
「生活期」のリハビリを提供する脳梗塞リハビリテーション(狭義)は、保険外サービスとなります。
③患者本人の主体性
かつては医療保険が適用される期間に上限がなかったのですが、2016年以降は「180日迄」とし、それ以降のリハビリの量と質については患者本人の主体性にゆだねるようになりました。
■業界動向やトレンドについて
2016年、日本政府の「公的保険外サービスの活性化プラン」に基づき、(脳梗塞を含む)脳血管疾患の後遺症リハビリテーションの保険適用期間に180日の上限が設けられました。これにより、リハビリがやりたいのにやれない『リハビリ難民』が100万人以上発生しました。
急速な身体機能の回復が期待できるのは「急性期」と「回復期」ですが、「生活期」もリハビリを行うことで、少しずつではありますが改善します。また、リハビリを完全にやめてしまうと、後遺症の再発や悪化のおそれがあります。
■脳梗塞リハビリテーションがおすすめの方
脳梗塞リハビリテーションのビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・介護施設(保険適用)を経営されている方
脳梗塞は高齢者ほど発症しやすく、脳梗塞リハビリテーションは介護リハビリテーションと共通する部分が多いため、シナジーを期待できます。「生活期」の脳梗塞リハビリテーション(広義)には『医療保険』が適用されませんが、『介護保険』が適用される可能性があります。
・総合ヘルスセンター(保険外)を経営されている方
脳梗塞の後遺症が針治療やマッサージで快癒した例も多く報告されています。リトリートやサナトリウムなどの広い範囲をカバーする総合ヘルスセンターであれば、相乗効果を発揮できそうです。
・Zoomサービスを開発されている方
安近長(安価・近い・長期)のリハビリを希望する層には、来院のリハビリとZoomを利用したリモートリハビリの併用が効果的です。ヨガやエアロビクス、ストレッチなど、運動系Zoomセッションのノウハウをお持ちの方は、一日の長があるといえます。
■成功のポイントは?
脳梗塞リハビリテーションのビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①リハビリ技術のマニュアル化
リハビリ技術は作業療法士の「個人持ち」になりやいので、マニュアル化することで会社の共有財産としましょう。
マニュアルは退職するスタッフに持ち出されるリスクもありますが、常にバージョンアップすれば問題ないしですし、そのための良いプレッシャーともなります。
②大衆路線or高級路線のメリハリ
「金に糸目を付けないので、とにかく元の体に戻したい」層と、「安近長で、じっくりなおしたい」層を切り分けましょう。中途半端だと、どちらからもそっぽを向かれます。
③技術革新に備える
医療技術は日進月歩で、とくに再生医療は心境著しい分野です。脳血管疾患の後遺症も遠くない未来、投薬治療が可能になると予想されています。
「家に帰るまでが遠足」ではありませんが、「イグジットするまでが事業」です。脳梗塞リハビリテーションのニーズがなくなったときの撤退プランも今の段階から立てておきましょう。