■トラック運送業のビジネスモデル
1.一次輸送
一次輸送は場所から場所へトラックで荷物を輸送するビジネスモデルです。多くの場合長距離で、大型の貨物となります。価格は、重量(トン)単位、もしくは重量と距離を掛け合わせたもので計算されるのが一般的です。
2.小口配送
小口配送は、小荷物を1個単位で受け取るビジネスモデルです。近距離の複数個所に対して配送を行う業務で、個人の利用者も多く、地域別料金など利用しやすい料金体系を定めている業者が多いです。
■トラック運送業の取り巻く現状
1.宅配便業は大手が独占
小口配送は宅配便業とも呼ばれますが、現在国内ではヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社が独占している状況となっています。国内取扱高の90%以上はこの3社により絞められているのが現状です。
2.競争が激しく収益性が低い
トラック運送業は、業者が飽和状態で過当競争の状況にあります。結果として荷主との力関係が弱く、適正な運賃を取りにくい状況が見られます。さらに、ドライバーの人件費や燃料費、高速道路料金などの運送原価もかかるため、運送業界は全体的に収益性が低いのが現状です。売上高総利益率は22.5% 、売上高営業利益率は0.6%と厳しい水準が見られています。
3.ECビジネスの拡大
新型コロナウイルスの流行により、外出自粛が要請されたことにより、「巣ごもり需要」が生まれました。この時期にオンラインで買い物をする人が増え、一時的に物流量が大幅増加し、物流各社は手が回らない状況となりました。外出自粛が解除された後も、この時期に利用を開始した顧客の定着化により、ECビジネスの拡大は続くものと予想されます。ECビジネスの成長に伴い、物流業者のニーズも拡大しつづけるでしょう。
■おすすめの方
トラック運送業がおすすめの方は、以下の通りです。
・物を丁寧に扱う人
・社会を支える使命感のある人
・配送・輸送の流れに興味がある人
上記のような方々は、物の流れの背景に利用者の生活を想像することができ、やりがいを持って働けるためおすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.運行効率を計算する
トラック運送業にとって、トラックは大切な経営資源です。そこで、所有するトラックをどれだけ効率的に活用するかが運行効率の鍵となります。運行効率は、「稼働率×実車率×積載率」で計算できますが、最近ではIT技術の導入により運行効率の管理がより容易になっています。管理業務のIT化などにより、しっかりしたマネジメントシステムを築くことが収益化の成功には欠かせません。
2.3PL方式の導入
3PLとは物流の流れの全てを一括して請け負う方式です。3PLを行なっている物流業者は多くの場合倉庫を保有し、製品の管理から発送まで全てを行います。3PLの物流業者を利用するなら、企業は物作りや販売に集中でき、本業ではない物流関係は一括しておまかせ出来るというメリットがあります。ECビジネスが拡大している流れで、3PL方式のニーズはますます高まっていくと予想されます。
3.コンプライアンスの徹底
トラック運送会社としての信頼性を高めるためには、コンプライアンスの徹底は欠かせません。ドライバーの安全運転管理、運行前の体調管理、飲酒や過労運転・過重労働への対応は近年特に遵守を求める動きが強くなっています。
重篤な違反があった場合、行政処分により業務の一時停止を余儀なくされたり、対外信用力の悪化により顧客との取引きに影響が出るなどのリスクがあるため、ある程度のコストをかけても徹底しておきたいポイントでしょう。
参考:https://www.riskmonster.co.jp/study/report/pdf/industryreport201701.pdf