■菓子製造業のビジネスモデル
1.店舗併設型
製造と販売を同時に行うビジネスモデルです。製造作業場に販売スペースを併設したり、カフェの形式を取る方法もあります。店舗での売上を主な収益に設定する場合には、ある程度集客が見込める立地選びが必要となります。特に生菓子販売の場合には、短い期限内に売り切る必要があるため、仕入れと販売利益の徹底管理が重要です。
2.無店舗型
店舗を持たず、企業へ卸たりECサイト販売を行ったりする形で収益を得るビジネスモデルです。必要資格を取得していれば、自宅でも開業できるため、最初はスモールビジネスとして開始するケースもあります。最近では手作り菓子を販売できるECプラットフォームも多く存在しており、個人が小規模に始めた商品が大ヒットする場合さえあるでしょう。
■菓子製造業の取り巻く現状
1.菓子業界の売上は下降気味
e-お菓子ねっとの「令和2年 菓子統計」によると、2020年の菓子市場規模は、生産額は1兆760億円で対前年比87.1%の成長となっています。また、小売金額も2兆360億円で対前年比成長率は84.9%と、下降気味の推移です。
2.チョコレート製品の売上が増加傾向
三井住友銀行が各機関の調査内容を元に作成した資料によると、チョコレート製品の売上は、2013年の3.5億円から、2017年では4億を上回っており上昇傾向にあります。また、単価についてもチョコレート商品の単価平均は2008年では平均328円だったのに対し、2017年では353円に上がっています。背景には、カカオの原料を活かした健康志向の商品や高級チョコレートが大人の人気を集めていることがあります。チョコレート製品を種類別に見ると、安価な袋入り製品売上は減少している一方、高単価な箱入り製品が増加しており、全体として平均単価の上昇が見られます。
3.営業には各許可証が必要
菓子製造業の営業には、各種許可証が必要です。関係する許可証には次のものがあります。
・飲食店営業許可申請
・菓子製造業許可申請
・食品衛生責任者
・喫茶店営業許可
販売店を併設するかどうかなど、営業スタイルによって必要とされる資格が異なります。不明点は必ず事前に保健所に相談するようにしましょう。
■おすすめの方
菓子製造業がおすすめの方は、以下の通りです。
・トレンドに敏感
・お菓子作りが好き
・パティシエの資格を持っている
上記のような方々は、新たなアイディア性と大人の心を掴む品質が鍵の菓子製造業を成功できるため、おすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.大人の心を掴む製品開発
近年菓子業界では、子供向けから大人向けにシフトチェンジする流れがあります。これまでの流れを見ると、1990年代に大人向け菓子が登場し、2000年代後半には健康志向が高まり、2010年代にはプチ贅沢志向といった流行になっています。少子高齢化が進むにつれて、この傾向は続いていくと予想されます。そのため、こだわりの素材、低カロリー低GI、プチサイズ高級感など大人の心を掴む製品開発が成功の鍵となるでしょう。
2.質で収益性を高める
菓子製造業を営む際には、厨房設備などの初期投資はあるものの、収益性の多くは製造技術にかかっているといっても過言ではありません。そのため、小規模な製造販売から始める場合には特に、菓子職人の技術力が求められます。オーナー自身がパティシエである場合には自身の技術の向上はもちろん、スタッフ採用の際には技術の高いスタッフに投資し、商品の価値を高めることが大切です。
3.認知度の向上
オリジナルブランドの認知度を向上させることも、菓子製造業を営むにおいて欠かせません。ECプラットフォームの利用には、手数料がかかるというデメリットもありますが、大手プラットフォームはSEOに強いので集客力には大きな力があります。そのため、初期はそうしたプラットフォームに頼り、ある程度認知度が高まった時点で他の販売方法に切り替えるという方法を取るのも良いかもしれません。
参考:
https://www.smbc.co.jp/hojin/report/investigationlecture/resources/pdf/3_00_CRSDReport079.pdf
http://anka-kashi.com/statistics.html