■クイックマッサージのビジネスモデル
従来のマッサージは個人営業や小規模企業による経営が主でしたが、クイックマッサージはフランチャイズ形式の経営が多いことが特徴です。フランチャイズのクイックマッサージ店として、最も古くは1996年に「てもみん」が第1号店を開店したことが皮切りとされています。現在ではてもみんの257店舗の他、ラフィネ448店舗、カラダファクトリー135店舗など数多くのフランチャイズが展開しています。また、一部ではこれらのフランチャイズ店を参考にし、個人オーナーが運営しているクイックマッサージ店舗もあります。
■クイックマッサージの取り巻く現状
1.マッサージ店は国家資格が必要
マッサージの施術は、国家資格であるあん摩マッサージ師でなければ行ってはいけない規定となっています。そのため、国家資格を持たないセラピストが行うクイックマッサージでは、看板にはマッサージという表現を使わないようにする注意が必要です。店舗によっては、治療を目的とした行為ではない旨をはっきり表記しているところもあります。
2.駅前やオフィス街を中心にした店舗展開が多い
駅前やオフィス街は、仕事に疲れた顧客が短時間でリフレッシュするためのマッサージのニーズが高いため、多くのクイックマッサージ店が店舗展開しています。例えば、クイックマッサージの草分け的存在でもある「てもみん」は、1996年以降、赤坂、代々木、新宿、四谷、銀座などオフィス街を中心に店舗展開を続けてきました。てもみんが店舗展開した周囲に類似のクイックマッサージ店がオープンするという現象も見られています。
3.低価格帯のマッサージの需要が高い
総務省統計局「家計調査(2010年調査)」によると、家計が1年間にマッサージへ支払った額は、2人以上世帯で2,646円、単身世帯平均で2,753円という結果が出ています。このように、マッサージは一般家庭の家計の中では支出の少ない分類に当たることがわかります。しかし、一時期横ばいだったマッサージ業界の売り上げがクイックマッサージの登場と同時に伸びており、これは低価格帯の需要の高さを表していると言えるでしょう。
■おすすめの方
クイックマッサージがおすすめの方は、以下の通りです。
・接客が得意
・施術の民間資格を持っている
・店舗ブランドのイメージができている
上記のような方々は、高い効率性と集客性を求められるクイックマッサージの経営を成功できるため、おすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.接客能力を向上させる
クイックマッサージは短時間の施術のため、技術による差別化が図りにくいという特徴があります。そこで、接客の質によって他店との差別化を図る営業努力が必要となります。店全体の接客能力を向上させるためには、定期的な研修の機会を設けるなど、社員教育に重点を置く必要があるでしょう。
2.企業契約を持つ
近年では福利厚生にマッサージを提供する企業が増えてきています。福利厚生の種類としては、従業員の来院を無料や割引にする方式や、社内常駐型、出張型などがあります。このような社内サービスを提供している企業と契約するなら、安定した収益を得られるでしょう。個人客の集客に伸び悩んでいる場合は、企業へのアプローチも検討してみても良いかもしれません。
3.内装にもこだわる
クイックマッサージのニーズがある顧客は癒しを求めているため、店舗の雰囲気にこだわる人も少なくありません。クイックマッサージに必要な設備は少ないですが、くつろげる空間作りにこだわるなど、ある程度内装に初期投資するのも良いでしょう。テイストにもこだわり他店と差別化を図ることで、一定の層のニーズに応えることができるはずです。
参考:https://www.stat.go.jp/data/kakei/npsf.html
https://messe.nikkei.co.jp/fc/column/market/122655.html