■どんなモデルか
越境ECとは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①日本国内から海外へ商品を販売するEC
越境ECとは、インターネット上で海外とEC(Electronic Commerce:電子商取引)を行うビジネスモデルです。以下の4タイプに大別できます。
1・自社運営型:自社で海外向けECサイトを構築し運営
2・海外出店型:海外のECモールに出店し商品を販売
3・代行販売型:海外の業者に商品を買い取ってもらい販売代行を依頼
4・保税区活用型(中国のみ):中国にある保税区(※1)の倉庫で商品を保管し販売
※1.保税区:中国における関税特区で、輸入品を一時的に蔵置出来る上に、関税の徴収が一時的に留保される区域
②ビジネスチャンスの拡大が見込める
越境ECには、海外の顧客が獲得できるという最大のメリットがあります。さらにECサイトの運営は、実店舗よりも容易な上にコストも削減できるので、業種によってはビジネスチャンスの拡大が見込めるでしょう。
③デジタル商品の販売とデジタル取引に強みがある
電子書籍やオンラインゲームの販売など、輸送コストが不要なデジタル商品の取引において、特に強みを発揮します。
支払いをオンライン上で完結できるので、瞬時に収益があげられるのもメリットです。
■業界動向やトレンドについて
Insider Intelligenceのリサーチによると、越境ECの国際的な市場規模は中国が約60%、アメリカが約20%を占め、イギリス(4%)日本(3%)韓国(3%)が続きます(※1)。つまり越境ECにおいて日本は、中国やアメリカに大きく遅れをとっているのが現状です。逆を言えば、日本においては未開のビジネスモデルなので、大きなポテンシャルを秘めているとも言えるでしょう。
中国の消費者が越境ECにより、日本の事業者から商品を購入した総額は約1兆7千億円となっており、この点にもビジネスモデルとしての可能性を見出すことができるでしょう。
2019年に経産省が発表した越境ECに関するデータから、市場規模と伸び率を抜粋して紹介します(※2)。
BtoC-EC 市場規模および各分野の構成比率
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
A.物販系 | 9兆2,992億円 | 10兆515億円 | 8.09% |
B.サービス系 | 6兆6,471億円 | 7兆1,672億円 | 7.82% |
C.デジタル系 | 2兆382億円 | 2兆1,422億円 | 5.11% |
総計 | 17兆9,845億円 | 19兆3,609億円 | 7.65% |
CtoC-EC 市場規模
2018年 | 2019年 | 伸び率 | |
CtoC-EC | 1兆5,891億円 | 1兆7,404億円 | 9.5% |
※1.参照元:Insider Intelligence「Top Global Ecommerce Markets」
https://www.emarketer.com/content/global-ecommerce-2019
※2.引用元:経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf
■越境ECがおすすめの方
越境ECのビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・ECサイトの構築や運営が可能な方
・デジタル商品を扱う方
・海外の法律や商慣習に見識を持つ方
インターネット上ですべての取引を完結できるのはメリットですが、海外と日本とでは法律が異なり商慣習も違う場合があるので、この方面に詳しい方が向いているでしょう。
■成功のポイントは?
最後に、越境ECのビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①デジタル商品の開発や販売に精通
デジタルコンテンツの開発・販売に精通している必要があります。
②日本の独自性を商品に組み込む
日本文化に興味を持つ外国人に、いかに訴求できるかが問われます。
③電子決済のトラブルシューティングに明るい
海外の顧客との電子決済ではトラブル起こりやすいので、この方面のトラブルシューティングに明るいと、取引がスムーズになるでしょう。