陸上養殖業のビジネスモデル
陸上養殖業がまずはどんなビジネスモデルか見ていきましょう。
1.安定した収益を確保できるビジネスモデル
高付加価値の魚種(フグ、ウナギなど)を養殖し販売することで売上を確保するビジネスです。天候による海水温の変化や不漁などの影響を受けないため、毎年安定した収益を得ることができます。
養殖した魚を加工し、さらに付加価値を付けた商品の販売を行えば更なる収益が見込めます。
2.水産資源保護の声に応じることができるビジネスモデル
水産資源の保護が求められる一方で世界的な養殖業の漁獲量は増えています。
食料の増産と資源の保護が求められる環境で、養殖業は需要の増加が見込めます。
3.環境変動に強く、環境にやさしいビジネスモデル
第一次産業でよくある気候変動による収益変動リスクが小さいのが特長です。
陸上養殖は水温や水量の管理が行えるため、養殖している種類にとって最適な環境を用意することができます。これは生産量の増加や安定化につながります。
陸上養殖であれば漁業権も不要となるうえ、廃棄物を処理しやすい完全閉鎖循環型であれば近隣への環境負荷も抑制できます。
陸上養殖業の業界動向
海外から安い水産物が流入しているため、国産品には価格面以外で競争力を持つ高付加価値商品への需要を囲い込むことが求められています。
高級品としてのブランド化に成功した場合、逆に海外市場への進出を狙うことができます。
また、漁業法改正によって漁業権の企業への分配開始が開始して以降、法人の漁業への関心が高まっています。
水産庁によれば、2018年時点で法人が持つ区画漁業権は区画漁業権全体の12%を占めるとのことです。
人口増による食料確保が課題となっているなか、世界的に養殖品の需要が高まっているのも追い風となります。
水産庁によれば、1980年代後半以降より世界の漁船漁業生産量が頭打ちとなっている一方で、養殖業生産量は増加の一途をたどっています。
陸上養殖業がおすすめの方
陸上養殖のビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・広大な土地を有効活用したい企業様
・エネルギー調達のノウハウを持っている企業様
・食品流通のノウハウがある企業様
成功のポイントは?
最後に、陸上養殖業の成功ポイントを押さえておきましょう。
1.初期投資に備えた融資の確保
陸上養殖は、用地の取得や管理機器の調達といった初期投資に高額な費用がかかるため、融資を受ける必要があります。
融資を受ける際に必要な担保を確保すること、そして現実的な返済計画を立てることで、
銀行から融資を得ることが容易になります。
2.技術整備による品質確保・リスク対策
養殖する種類にとって最適な環境を維持するため、人力だけでなく自動で環境を管理できるシステムを用意する必要があります。
病気の蔓延や機械の故障による生体への損害など、閉鎖的空間を設計する際に発生するリスクにも対処しなければなりません。
3.高付加価値、環境へのやさしさ
陸上養殖は海面養殖や天然物に比べると固定費や初期費用が高く、採算性を確保するためには販売価格を上げざるを得ません。
そのため消費者を納得させられるような高価格の理由が必要になります。
高付加価値・高品質の商品であることのアピールや、環境負荷が小さい商品であると示すことで高価格でも訴求力を持たせることができます。