■どんなモデルか
3つのレスが生む無人スーパーとは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①店員レス
無人スーパーとは、無人または最低限の店員で運営するスーパーです。
小売業の慢性的な人手不足を解消するため、『省人化』の文脈で生まれました。
店員を「完全に無人」にするには、いったいいくら費用がかかると思いますか?
仮に「野菜の無人販売所」のように防犯対策をまったくしないのであれば、かかる設備費用はゼロ。費用は盗難コストだけとなります。
一方、AmazonGoのような鉄壁の防犯対策をしたいなら、かかる設備費用は3,000万円以上。そのかわり盗難コストは限りなくゼロに近くなります。
②行列レス
スーパーは小売業のなかで最も「レジの待ち時間」がストレスとなりやすい形態です。そのことは、コンビニやキオスクと比べても明らかです。
店側にとっても、「レジ待ち10人で100人の客を逃す」といわれています。AmazonGoのような自動精算システムを導入すれば、行列によるストレスや逸失利益を完全に解消できます。
③キャッシュレス
現金を店舗で扱うことは、管理上、多大なコストがかかります。
AmazonGoのようなアプリ上ですべてが完結するシステムであれば、現金にまつわるわずらわしさから解放されます。非接触を志向する、ウィズコロナの社会状況にも適合します。
■業界動向やトレンドについて
日本での本格的な無人スーパーは、すでに2018年に登場しています。
しかし、その後はコロナ禍で足踏み。無人化システムの開発受託や外販も、今から参入しても遅くありません。
■無人スーパーがおすすめの方
無人スーパーのビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・機械メーカー・機械商社を経営されている方
AmazonGoは、商品種類ごとの「重量センサー」と「監視カメラ」を必要とします。これらの設備を販売すれば、大きな売上が見込めます。すでに大手メーカーが参入していますが、要求される防犯レベルは、野菜の無人販売所からAmazonGoまでさまざま。大手が手薄な「すき間」は必ずあります。
・IT会社を経営されている方
AmazonGoには、前述の物理的な設備に加え「画像認識AI」が不可欠です。小売業においてはAI人材が絶対的に不足していますから、高性能な画像認識システムを開発提供すれば重宝されます。
・スーパーを経営されている方
コンビニの「24時間年中無休」へのブラック批判は、早晩スーパー業界にも波及するはずです。無人店舗はこれらの悩みを一気に解決します。
■成功のポイントは?
無人スーパーのビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①適所適材の設備投資
「3レス(店員・行列・キャッシュ)のレベル」と「設備コスト」は、トレードオフの関係にあります。両者のバランスを考え、最適な無人店舗設計をしましょう。
②顧客視点を忘れない
費用対効果にとらわれすぎてはいけません。「レジの混雑を気にしないで、好きなときに入店して、好きなときに退店できる」という、無人スーパーが提案するまったく新しい『きもちよさ』にフォーカスしましょう。
③国民性に配慮
日本人にはAmazonGoを「コソ泥をしているみたい」と嫌う人もいます。また、自分が泥棒だとまちがえられることを極端に嫌います。このようなシャイな国民性には最大限に配慮するのが成功のカギです。