■ポイント① ネットスーパー業界の市場規模と業界動向について
経済産業省が2021年7月に発表した令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)によると、飲食料品のEC市場規模は2兆2,086億円でした。
市場規模は年々増加していますが、EC化率は3.31%程度にとどまっており、国内全体のEC化率8%と比較すると、飲食料品に関係するEC市場規模は相対的に小さく、今後の伸びしろが期待できる業界と言えそうです。
■ポイント② ネットスーパーのビジネスモデルについて
既存の店舗型スーパーはすでにネットスーパーに参入しており、レッドオーシャンとなっています。
ネットスーパー単体で利益を出しているスーパーは、一部の例外を除いてほぼ皆無です。コロナ特需が去った後の売上維持も課題となっています。
①変動費ビジネス
ネットスーパーは、スーパーマーケットの店頭で販売している商品をネットで注文できるサービスです。
ネットスーパーのビジネスモデルでは、店舗型スーパーにはなかった新たなコストが発生しています。『ピッキングコスト』と『配送コスト』です。
ピッキングコストは、注文のあった商品を棚から集める作業です。
従来の「店舗型スーパー」は店舗設備を利用した固定費ビジネスでしたが、「’ネットスーパー」は、顧客の買い物量が増えるほどピッキングコストも増える変動費ビジネスである点で、根本的な差が生じています。
②店舗型スーパーとセット
ネットスーパーは、あくまで店舗型スーパーの「派生ビジネス」です。
オンラインショップが店舗を持たないことはむしろ普通ですが、ネットスーパーは店舗の存在を前提としています。
ネットスーパー単体では、ピッキングコストと配送コストの存在により、利益を出すのが非常に困難で、店舗部門の利益を付け替えているケースがほとんどです。
③生鮮食品がメイン
店舗型コンビニ / オンラインコンビニの主力商品が「弁当」であるのに対し、店舗型スーパー / オンラインスーパーの主力商品は「生鮮食品」です。
■ポイント③ ネットスーパー事業立ち上げの手順と注意点
ネットスーパーのビジネスモデルの注意点を押さえておきます。
①毎日使ってもらう
オンラインスーパーの主力商品は生鮮食品なので、たとえ少額でも毎日利用してもらう必要があります。
毎日使ってもらえれば、購入品の種類と量が平準化し、需要予測も立てやすくなります。毎日使ってもらうには、「3,000円以上のご購入で配送無料」といったサービスは裏目に出ます。
まとめ買いを誘発し、数日間隔のまとめ買いでは、主力商品の生鮮食品の買い控えが起きるからです。
「月会費1,500円で配送無料」といったサブスクにして、どんどんこまめに利用してもらいましょう。
②インコンビニエンスを受け入れてもらう
「すぐにでも食べたい」お弁当が主力のオンラインコンビニとは異なり、オンラインスーパーの主力商品の生鮮食品は「夕方までに持って来てくれればOK」です。
「30分以内の配送」を約束すると、注文が立て込んだときのために多くのバッファ要員を抱える必要がありますが、「正午までのご注文で17時までに配送」など多少のインコンビニエンス(不便)をお客様に受け入れていただくことで、大きなコストダウンが可能です。利益を出すのが非常に困難な本業界においては、なかばマストです。
③アプリの内製化
オンラインビジネスにおいては、アプリが使いやすいに越したことはありませんが、ネットスーパーにおいては商品点数が数万種(ネットコンビニよりはるかに多い)におよぶため、「商品検索のしやすさ」「商品画像の見やすさ」に加え、「店側の使い勝手」も死活問題となります。アプリは内製化し、優秀なIT人材を擁することが不可欠となります。
■ポイント④ ネットスーパー事業に必要な費用
ネットスーパーに必要は費用は以下の通りです。
・電子機器
・撮影機材
・オフィスや倉庫の賃料
・仕入れ費用
・広告宣伝費
・人件費
・梱包グッズの雑費
・配送料
・サービス利用料、手数料、システム費用
・サーバー代、ドメイン代、通信費
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