新規事業の検討をする際に避けて通れないのが、事業計画、中でも事業を定量的に示す数値計画です。数値計画とは、要は「この事業でどのくらい儲かるか?を計算するということです。ここでは、私たちがコンサルティングをしている中で、数値計画を立てるときのポイントを紹介・解説させて頂きます。
Table of Contents
1.事業を構造化する
ビジネスモデルを要素分解するために、事業を構造化していきます。例えば以下の画像のように、「売上高は、顧客からのニーズと競争力の最小値」(両方が制約となり、どちらか小さい方の値になる)、「顧客からのニーズは、問い合わせ数×契約率×平均単価×リピート率(購入回数)」と要素分解することができそうです。「問い合わせ数はさらに、・・・」と、より深く、細かく分解することで、事業のロジックツリーを作ります。
2.各パラメータの値を設定する
ロジックツリーが出来上がると、上の図で灰色で示したように、自社でコントロールできない数字も現れます。これはコントロールしようがないので、「調査により把握する」「推計する」というアプローチになります。
一方で、契約率や平均単価は事業でコントロールできるものです。それでも他社事例や調査は必要になります。契約率であれば、一般的に類似事業や類似のマーケティングでどのくらいの値になるか?(例えばWEB広告からの一般的なコンバージョンレート)を基に現実的な値を設定する必要があります。価格であれば競合や同ニーズのものにどのくらいお金をかけているか?(オンライン食品デリバリーサービスであれば、自宅での調理時や中食・外食時にかけるお金)を基に平均単価を想定することができそうです。
3.時間軸を入れる
上の図の下半分ですが、各数値が事業推進・戦略実行によりどの程度で推移するかを埋めていき、数値計画として組み立てていきます。ここでは他社での事例を調査するのが有効です。他社事例で同様の事例において、各数値がどのくらいの推移を辿ったかを分析し、自社事業の特異性も加味して組み立て・定量化を行うことになります。
4.シナリオ設計
ここまでの説明では1通りの数値計画だけを設定するケースで説明しておりましたが、実際には複数ケースを作ることが多いです。①悲観、②中立、③楽観シナリオを作る場合、各パラメータの値をシナリオごとに分けて、例えば「①悲観シナリオであっても、このくらいの売上・利益確保は出来る」のように確認することができます。
5.KPIや撤退基準との組み立て
このように数値計画を組むと、KPIや撤退基準の設定とも紐づけることができます。KPIは、事業の目標達成に向けた進捗を測るための指標です。ロジック分解した中で、自社としてどの数字を一番追わないといけないかを設定します。KPIとは、言い換えれば、この数字が達成していたら事業は順調だと考えてよい、という指標です。KPIは複数になることが一般的(ただし多すぎると追いきれないので、3つ程度にすることが多い)ですし、事業フェーズによって変化します。
撤退基準は、事業が当初の計画から大きく乖離した場合に、事業を撤退するための基準です。例えば、撤退基準を売上高とした場合、売上高が一定の期間内に目標値を達成できない場合に事業を撤退するという基準を設定することができます。悲観シナリオと結び付け、〇年の時点でそれより下回ったら撤退、のように設定することもあります。
いかがでしたでしょうか?今回は、数値計画について取り上げました。船井総研では、新規事業開発を行う企業様向けに、事業性評価や事業計画策定のご支援をさせて頂いております。貴社にて新規事業を検討されるにあたって、もしお困りごとや行き詰まりなどございましたら、ご相談だけでもぜひ一度お問い合わせ頂ければ、弊社コンサルタントが対応させて頂きます。
執筆: B-search