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1. フレームワークとは
新規事業開発において、フレームワークはどのように活用されていますか?
PESTやSWOTというコトバは知っていても、実際に使ってみようとすると使い方に困ってしまったり、「資料のための資料」のような添えもの的な扱いにしかならず、うまく使いこなせていないという例はよく聞きます。
そもそも、フレームワークというのは、思考の整理や分析を効率的に行うためのツールです。いわば、考えるための「型」のようなものと言えます。新規事業開発のように、不確実性が高く、複雑な要素が絡み合う状況では、この「型」を活用することで、抜け漏れなく情報を整理し、多角的な視点から分析を進めることができます。
しかし、フレームワークはあくまでもツールであり、それ自体が目的ではありません。多くのフレームワークが、コンサルタント会社が生み出したものです。当初は、言いたいことがあって、それを整理するために作られたフォーマットでした。ですから、フレームワークを埋めることだけを目的化するのではなく、そのフレームワークで何を伝えたいか、を明確に意識することが大切です。場合によっては、フレームワークを改造することも必要かもしれません。有名な例では、PEST分析にLegal(法律的)、Environmental(環境的)を加えたPESTLE分析として用いられる例があります。
具体的に、新規事業開発では以下のように用いられるのが典型的です。
2. PEST分析
まずPEST分析というのは、参入する事業を取り巻く環境について、「抜け漏れなく検討している」ことが伝わることが重要です。言い換えれば、思わぬ落とし穴が無いかを検討することが一番重要だと考えています。次に重要なのは、ポジティブな点として意外な攻めどころ(ターゲッティング)がないかを見極めるものです。
例えば、規制産業への参入であれば、規制緩和によりマーケット自体が無くなったり大幅な縮小をするかもしれませんし、地方商圏を対象とした事業であれば、対象としていた自治体自体が今後大幅に縮小していくことも織り込みが必要です。
ポジティブな要素の例としては、規制緩和により新たな市場が生まれる(実際に海外では生まれている)、技術革新により既存の市場のボトルネックが解消されて市場規模が拡大する、等があります。
事業の検討にあたっては、これらの論点をできるだけ定量的に把握することです。あくまで予測・推計にはなってしまいますが、いつのタイミングでどのくらい縮小・拡大するのか?を把握することで、どのくらい事業にインパクトを及ぼす事象なのかを把握することができます。よく聞く例として、経営会議等で「ほとんどインパクトがない事象」について重箱の隅をつつくような議論が展開されてしまうということがあります。こうした不要な議論を生まないためにも、ネガティブ・ポジティブな各要素が、どのくらいのインパクトがあるのかを整理するのがこのフェーズになります。
3. 3C分析
3C分析も、割と漫然と実施されてしまうことが多い分析になりますが、うまく使うと非常に有効なツールとして機能します。簡単に言うと、「顧客は何を求めているか?それに対して他社はどう価値提供するか?他社の動きを前提としたとき、自社はどう動けば市場を取れるか?」を調査・分析・整理するのがこの分析でやるべきことです。間違っても、競合の製品一覧表を作る分析でも、アンケート調査結果をただ並べるだけの分析でもありません。
顧客分析では、ターゲット顧客を明確化し、そのニーズ、購買行動、価値観などを深く理解することが重要です。例えば、顧客セグメンテーションを行い、それぞれのセグメントの特性に合わせたマーケティング戦略を検討する必要があるでしょう。
競合分析では、単に競合企業をリストアップするだけでなく、それぞれの競合の強み・弱み、戦略、ポジショニングなどを分析し、自社との差別化ポイントを明確にする必要があります。例えば、競合が価格競争を仕掛けてきた場合、自社は品質やサービスで差別化を図る戦略が必要となるかもしれません。
自社分析では、自社の強み・弱みを客観的に評価し、顧客に提供できる独自の価値を明確にすることが重要です。例えば、自社が持つ技術力やブランド力、顧客との関係性などを分析し、競合優位性を構築する必要があります。
3C分析によって得られた情報を統合することで、市場における自社のポジショニングを明確化し、顧客に選ばれるための差別化戦略を構築することができます。
以上、PEST分析と3C分析について取り上げました。次回はSWOT分析とその後の検討について取り上げます。船井総研では、新規事業開発を行う大手企業様向けに、3C分析やPEST分析を含む戦略立案のご支援をさせて頂いておりますが、会社様によっては3C分析・PEST分析単体での分析をご依頼いただケースもございます。貴社にて新規事業開発を推進されるにあたって、もしお困りごとや行き詰まりなどございましたら、ご相談だけでもぜひ一度お問い合わせ頂ければ、弊社コンサルタントが対応させて頂きます。
執筆: B-search