■行政書士のビジネスモデル
1.主要業務分野
行政書士の主要業務と呼ばれるのは、建設・宅地建物・運送・渉外・風俗・環境の6分野です。
開業直後は集客のために、行政書士自らが営業活動を行わなければならない場合もあります。
行政書士の業務は単発で終わる内容も多いため、継続して収益を得るには、新規顧客の開拓を続けることと、継続できる分野の業務を開発することが不可欠です。
2.渉外分野業務
主要業務から発展して、特定の業務に依頼が集まった場合、さらに特化したサービスを提供し渉外分野業務に拡大することもできます。
一例として、英語対応可能の外国人ビザ業務、ペット関連のトラブル業務、民泊に関連する業務など、他の行政書士事務所があまり扱っていない分野に特化するというビジネスモデルもあります。
■行政書士の取り巻く現状
1.行政書士の人数は急激に増えている
月報司法書士の2017年の調べによると、2017年の行政書士登録人数は4,6205人です。
2003年~2017年では毎年平均840人前後増え続けている状態が見られます。
以前は、行政書士の資格を持っているだけで業務が成り立つ状況でしたが、最近では競合が多い中、積極的な営業活動なくしては成り立たない現状となっています。
2.廃業者数の増加
総務省の行政書士の登録状況平成29年度によると、毎年1600人~1800人もの人が廃業している状況が見られます。
うち、82%が廃業届を出しており、17%は死亡となっています。
行政書士は定年がなく高齢でも働き続ける場合も多いため、2割程度は死亡が廃業理由となっている中、8割程度は経営が成り立たず自ら廃業届を出している状況です。
3.IT化により仕事が減少する可能性も
日本経済新聞によると、2019年に行政の電子化に向けた新たな「デジタル・ガバメント実行計画」が閣議決定されました。
この計画により、2024年度中に国の行政手続きの9割を電子化する方針となっています。
そのため、従来行政書士が行なっていた業務がAIによって奪われ、行政書士の一部は仕事を失うのではと懸念されています。
■おすすめの方
行政書士がおすすめの方は、以下の通りです。
・人や企業の役に立ちたい
・コミュニケーション能力が高い
・多方面の知識の学習を続けていく意欲がある
上記のような方々は、行政書士事業を成功できるため、おすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.AIに負けない対人サービスのニーズに応える
行政書士の書類作成等の業務はAIにとって変わるとも言われていますが、人間でなければできないサービスが存続するのも確かです。
例えば、法令による判決は柔軟な判断が求められる場合があり、中間監査や実査は人間による業務が必要です。
また、相談者の想いを汲み取り、親切に説明する必要がある相談業務も対人ならではの業務です。
このような業務を得意分野とすることで、新時代においてもAIに負けずに生き残れる行政書士となれるでしょう。
2.複数資格を取得し業務の幅を広げる
行政書士の業務と関連する分野の幅は広いため、他の資格を身につけたり専門分野の勉強をしたりすることで、対応できる業務の幅を広げることができます。
例えば、宅建業の許認可手続きを行う場合、宅地建物取引士、測量士補の資格勉強を行うとより多角的な知識に基づいた業務ができるようになります。
3.新たな分野を開拓する
世の中の流れは、行政書士にとっても新たな分野を開拓する機会になります。
例えば近年では、民泊の流行に伴い住宅宿泊事業法が施行されるようになり、それに伴う業務が発生しました。
また、ドローンに関係した法律問題も近年になって発生した分野です。
このように、新たな市場の誕生や流行の流れにより生まれる分野に対して、いち早く特化した対応を行えば、他の行政書士事務所との差別化を図ることができます。
参考:
https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/11/201708_00_1.pdf
https://www.soumu.go.jp/main_content/000634708.pdf