■テレマーケティング業のビジネスモデル
1.インバウンド型
インバウンドとは受注を中心にした業務のことです。通販会社やメーカの問い合わせや商品受注業務がインバウンドに当たります。企業から代行を受けたテレマーケティング会社は、事前に取り決めたスクリプトに基づいて多岐にわたる問い合わせの対応を行います。インバウンドの場合は、スタッフの固定席数に基づいた契約により収益化する形が多いです。
2.アウトバウンド型
アウトバウンドは発注型の業務です。顧客リストに電話をかけ、販路開拓を行っていく業務がメインとなります。アウトバウンドは営業力が求められるため、専門性に力を入れ、特定の分野に特化して代行を請け負うテレマーケティング会社もあります。アウトバウンドの場合は、発信数や成約数など成果型の報酬になる場合が多いです。
■テレマーケティング業の取り巻く現状
1.コロナ禍による人材の大異動
コロナ禍の影響を受け、多くの企業では事業縮小やリストラが進んでいます。今までコールセンター業務を外部委託していた企業が委託解除し、自社内運営に切り替えているケースも少なくありません。大きく報道された実例としては、航空会社JALやANAの多数のCAが同系列会社が運営するコールセンターに出向となったケースがあります。
このような動向は、他企業からのコールセンター業務を請け負うテレマーケティング業界にとっては逆風になっているといえるでしょう。
2.テレマーケティング業界のIT化
テレマーケティング業界のIT化により、雇用が減少するのではという議論は以前からなされてきました。音声認識の技術が進むにつれ、人工知能AIによる電話対応の精度が上がってきています。また、自動返信のチャットボットは対人通話による問い合わせが面倒という人にとって最適なサービスとなっています。
しかし、このような現状においても有人対応の必要がゼロになるわけではなく、ニーズに応じた使い分けが理想的といえます。効率が求められる場面ではAIを導入し、対応品質が求められる場面では有人対応にするなどのフロー化が必要でしょう。
3.コールセンターの在宅化が進む
コロナ禍における在宅ワークやデジタル化の推進に伴い、テレマーケティング業界でも在宅化の取り組みが進んできています。テレマーケティング業界大手のベルシステム24では、2019年からコールセンターの在宅化に取り組んでおり、2021年2月時点では1,300席を達成。2023年までには4,000席体制を目標にしています。
在宅化のメリットは、働き方改革の一環としてだけでなく、災害時などコールセンターが不全になった時のバックアップの役割も果たせるという点があります。
■おすすめの方
テレマーケティング業がおすすめの方は、以下の通りです。
・人と話すことが得意
・営業力がある
・特定の分野の知識に長けている
上記のような方々は、有人対応が求められる受注・発信業務で十分に能力を発揮できるため、おすすめのビジネスモデルです。
■成功のポイント
1.特化型コールセンターによる差別化
テレマーケティング業界では競合他社との差別化を図るため、アウトソーシングの営業力に力を入れる会社も増えてきています。例えば、化粧品に特化したコールセンターを立ち上げ、化粧品に関する知識や技術を持つ専門家を配置します。専門家によりオペレーターに対する研修を定期的に行うことで、専門性の高いサービスを提供できるため、化粧品関連会社の業務受託の際に大きなアピールとなります。
このように、受託する分野を差別化することはテレマーケティング業における成功の方法の1つです。
2.品質と効率を重視したサービス
IT技術が進み、 AIによるボット対応化が進みつつあるテレマーケティング業界において、品質を重視する原点回帰の動きもあります。有人ならではの細やかな対応ができる熟練のオペレーターは、AI対応の隙間ニーズを埋める上で重要な役割を果たすでしょう。
今後のテレマーケティング業界は、品質と効率両者を達成するサービスの質が求められるといえます。
3.離職率の改善
テレマーケティング業界での課題の1つは離職率の高さです。オペレーターの仕事はストレスが大きく、短期間で離職してしまう人も多いことから、経験豊富な熟練したオペレーターの数は少ない傾向にあります。オペレーターの負担も配慮に入れ、職場環境の改善を図ることが、長期的にはサービスの質向上にもつながるでしょう。
参考:https://www.businessinsider.jp/post-235824
https://biztel.jp/blog/2021/01/29/6258/
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/service40.html