~グラフィックデザイン、データ管理、印刷すべての工程のアウトソーサー~
■どんなモデルか
デジタルオンデマンド印刷対応とBPOを実践するDTP業は、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①デザインと印刷に関わる全工程のアウトソーシング
オンデマンド印刷はPOD(Print On Demand)とも呼ばれ、必要な部数だけを印刷する方法です。さらに、デジタルオンデマンド印刷では、製版工程を省略し、インターネットで送受信したデータを印刷します。短納期とコスト最適化がメリットになります。
BPOは「Business Process Outsourcing」を略した言葉で、一部の業務だけではなく、ビジネスのプロセス全体をアウトソーシングします。
たとえば企業のパンフレットの印刷では、従来にはデザインはデザイン制作会社、印刷は印刷会社、データの管理は企業内で行っていました。
このような企業の印刷物に関する制作、印刷、データ管理のすべてをアウトソーシングするビジネスモデルが、デジタルオンデマンド印刷対応とBPOを実践するDTP業です。企業の印刷関連業務の担当者を代行し、負荷を低減します。
②小ロットに対応するデジタルオンデマンド印刷
デジタルオンデマンド印刷対応とBPOを実践するDTP業のアウトソーシングは、50部のような小ロットの社内文書のデザインと印刷にも対応します。
社内研修で利用する資料やマーケティングデータをもとにした分析資料作成では、常駐してスタッフのひとりとしてアイディアを出す段階から関わる場合もあります。
③電子媒体の展開とデータ管理において付加価値を提供
DTPで制作したデータは、ワンソース・マルチユースとして電子書籍化ができます。また、修正を重ねることによってデータ管理が煩雑になりがちです。データ管理をアウトソーシングする需要もあります。
■業界動向やトレンドについて
インターネットにより印刷業界とDTP業は厳しい生き残りを強いられました。コスト削減と自然環境保護のためにペーパーレス化が重視されるようになったことも、大きな影響を及ぼしています。
しかし、紙媒体は保存性や回覧性の面で優れていることから、印刷自体の需要は残っています。
これからのDTP業には、企業のブレインとして印刷管理の効率化とデジタルデータ活用の提案が求められています。
■BPOを実践するDTP業がおすすめの方
デジタルオンデマンド印刷対応とBPOを実践するDTP業のビジネスモデルがおすすめの方は、以下の通りです。
・DTPを含めてデジタルメディア全般に詳しい方
・広告業界や出版業界、企業の広報宣伝部門に所属した経験がある方
・ライターやカメラマン、編集者と人脈がある方
制作工程の全体を見渡してディレクションできる方が向いています。
■成功のポイントは?
デジタルオンデマンド印刷対応とBPOを実践するDTP業のビジネスモデルの成功ポイントを押さえておきます。
①電子媒体への対応
DTP業といっても紙媒体だけの事業形態は成長性や発展性の面で課題があります。デザインを核とするならブランディング、メディア展開であれば電子書籍なども考慮しておくことが大切です。
②コンサルティング能力
デザインや印刷に詳しくない顧客の場合、丁寧にヒアリングを行い、課題を整理するコンサルティング能力が求められます。
③蓄積したノウハウの標準化とカスタマイズ
実績を積み上げることによってノウハウが蓄積されますが、属人化するのではなく、提案書としてサービスを標準化するとよいでしょう。ただし、顧客の要望にしたがってサービスをカスタマイズする柔軟性も必要です。