~財務会計や人事労務管理など、企業から受託で基幹系システムをクラウド化~
■どんなモデルか
受託によるクラウドERPのシステム開発業とは、どのようなビジネスモデルでしょうか。
①クラウド上のERPの開発と運用
クラウドは、インターネットを介して外部のデータセンターのサーバーにあるシステムやデータを活用する仕組みです。
ERPは「Enterprise Resources Planning」の略で、企業のヒト・モノ・カネ・情報といった資産(リソース)を有効活用するためのアプリケーションをいいます。具体的には財務会計や人事労務管理などを処理し、基幹系システムと呼ぶこともあります。
従来は、セキュリティ、処理速度、扱うデータが膨大になることなどから、ERPは企業内のサーバーで運用管理していました。しかし、クラウド技術の向上と浸透によって、ERPのクラウド化が進展しています。
受託によるクラウドERPのシステム開発業のビジネスモデルでは、発注企業で運用しているERPをクラウド上に移行、クラウド上における新規システム開発、運用保守を担います。
②柔軟性、短期間の開発、コスト削減を提供するビジネスモデル
クラウドERPを導入する主なメリットは、ハードウェアの増設や削減なくクラウドを柔軟に拡張と縮小ができること、開発期間の短縮化、コスト削減です。
③新たな開発手法を取り入れることで効率化
従来は「ウォーターフォール型」の完全な設計をした後に開発を行う手法でしたが、現在は「アジャイル型」による実装とテストを繰り返す手法がメインになっています。また、開発と運用を連携させる「DevOps」も浸透しています。このような開発手法でソリューションを提供します。
■業界動向やトレンドについて
ERPは大規模であり、数年ごとにハードウェアを入れ替えなければならないため、更新時の対応やコストに課題がありました。クラウドに移行することで、システム更新時の負荷軽減が可能になります。
業界全体では、大手システム開発会社の元請けを中堅企業に下請けさせ、さらに中小企業やフリーランスなどに孫請けさせる「多重下請け構造」が問題になっています。開発力をアピールして、独立性を維持できるかどうかが求められています。
■クラウドERPのシステム開発業がおすすめの方
クラウドERPのシステム開発業には、以下のような方におすすめです。
・ERPのシステム全体を熟知している方
・各種クラウドサービスの特徴を理解している方
・ERPもしくはクラウドのパートナー認定を取得している方
ERPおよびクラウドの主力サービスでは、パートナー認定制度を設けています。認定資格の取得によって顧客の信頼が得られます。
■成功のポイントは?
最後に、クラウドERPのシステム開発業の成功ポイントを押さえておきます。
①クラウド移行先の業務課題を理解できること
システム開発にはパッケージ開発と受託開発がありますが、受託開発の場合は、クライアント企業の業務に合わせてカスタマイズが必要になります。システムはもちろん、業務の課題を理解していることがポイントです。
②予算と開発コストの最適化
受託開発では、クライアント企業からの要望が膨らみ、開発コストを上回る事態になりかねません。予算と要望から実現可能な開発領域を見極めて、最適化を行うとよいでしょう。
③独自性を強みに下請けからの脱却
大手システム開発会社の下請け、さらに孫請けの状態が続くと、低コストで短納期の案件を遂行するだけの状態になります。事業基盤は安定するとはいえ依存体質になるため、下請けからの脱却が成功のポイントです。